駐車場空いてるのに…どうして隣に停めるの? 不思議な「トナラー」の心理と“7つの言い分” 賢い対処法は
■空いていても隣に来る「トナラー」
「トナラー」とは、周囲が空いている状態にも関わらず、敢えて隣に来る人です。電車やバス、飲食店などで隣に座って来る人だけでなく、空いている駐車場で隣に停めてくる人もトナラーと呼ばれます。
なおクルマを隣に停める行為は「トナリング」といい、トナラーはここから派生して生まれた言葉とも言われています。
▽「10人に1人」はトナラーの可能性も
トナラーの存在を不快に思う人は、少なくありません。これは、多くの人に「パーソナルスペース」という他人に入られたくない領域(距離)が存在するからです。
実は約10人に1人はこのパーソナルスペースの概念が希薄であると言われています。こうした人は「近くに座る/座られる」といった行為が気になりません。概念が希薄な人全員がトナラーとは限りませんが、こうした人にトナラーは多いと考えられます。
▽意図的にトナラーになる人も
パーソナルスペースの概念が希薄で、無意識にトナラーになっている人がいる一方、パーソナルスペースの概念があっても「敢えて隣に駐車する」という人もいます。
こうした人の心理も含めて、以下で「どういった理由で隣に停めるのか」を解説します。
■車トナラー…7つの言い分
トナリングをする理由は個人によって様々です。ここではトナラーに多い7つの心理・言い分をご紹介します。
▽1. 駐車位置にこだわりがある
これは、パーソナルスペースの概念が薄い人に多いパターンです。隣に他のクルマがあろうとなかろうと、「いつもの場所を使いたい」「決まった番号が良い」「端から詰めないと気が済まない」と考えて停めています。
▽2. 駐車場所の目印にしたい
目立つクルマの隣に置いて、「愛車の位置がすぐ分かるようにする」という人もいます。短時間の用事であれば隣のクルマがいなくなる可能性も低いので、目印にできることがあります。 中には、いつも同じ時間帯に駐車場を利用している固定のクルマを目印にしている人もいるようです。
▽3. 隣にクルマがある方が停めやすい
駐車が苦手な人に多いのが、このパターンです。特にバック駐車の場合、白線だけでは距離感を掴みにくく、敢えて隣にクルマがいる位置を選んで駐車する人がいます。
▽4. 好きな車種の隣に停めたい
「愛車と同じ車種の隣に停める」「憧れのクルマがあったので隣に停める」といった人もいます。特に高級車やスポーツカーでは、こうした理由でトナリングされることが多いようです。中には「記念撮影してSNSにアップする」といった少々迷惑なトナラーもいます。
▽5. ドアパンチから愛車を守りたい
隣にクルマがいる場所を選べば、「かえってドアパンチのリスクが高まる」と考える人は多いです。しかしスライドドア車や丁寧に扱われていそうな高級車の隣に停めて、ドアパンチのリスクを下げようとする人もいます。特に、「朝から来たけどこの後混雑しそう」といった場合は、有効でしょう。
▽6. イタズラなどから愛車を守りたい
一台で孤立していると「イタズラや車上狙いに遭いそうで怖い」という心理から、他のクルマの近くに停めるパターンです。「他人でも近くにいた方が安心」という人は多くいます。
▽7. 周囲にクルマがないと不安
6番目の理由と同様に、ひと気のない場所を不安に思う人は少なくありません。特に、こうした環境に強い不安感を抱く「広場恐怖症」の人は隣にクルマがないと安心できず、トナリングすることが多いです。
■多くの人がトナラーを不快に思う理由
ここまでご紹介したように、殆どのトナラーに悪意はありません。しかし冒頭でご紹介した通り、多くの人は「パーソナルスペース」の概念により、トナラーを不快に思いがちです。
パーソナルスペースの範囲は人間関係や周囲の混雑具合によって変わります。人間関係なら、心理的距離の遠い相手ほど範囲が広がります。また混雑具合では、周囲が空いているほど範囲が広がる傾向があります。だからこそ、「空いているのに隣に停める」という行為は多くの人にとって不快に思えてしまうのです。
▽「ドアを開けにくい」という不自由さも
パーソナルスペースによる不快感に加えて、隣にクルマがいれば「荷物の出し入れがしにくい」「ドアパンチが怖い」といった不自由さも生じます。相手に悪意がなかったとしても、こうした状況では余計に苛立ちを覚えやすいでしょう。
■トナラー問題を解決する方法は?
トナラーにはそれぞれの言い分がある一方で、パーソナルスペースへの問題から「隣に停められたくない」と人が思うのも自然なことです。トナラーを避ける対処法や、向き合い方を考えてみましょう。
▽効率的な対策は「斜め駐車」!?
トナリングの対策で最も有効なのは、斜めに駐車することだと言われます。 クルマを斜めに駐車すると「運転が下手そう」という印象を与え、ドアパンチや駐車・発進時の接触リスクも考慮して人が嫌厭しやすいからです。
あくまで駐車場が空いている時の対処法ですが、トナリングされたくない場合はやってみてください。
▽入口から「近い・遠い」は一長一短
停める場所を工夫してトナラーを避けようとする人もいますが、入口から近い場所と遠い場所のどちらが良いかは、一長一短です。
入口から近い場所は道幅が狭いことが多く、駐車が苦手なトナラーなどは避ける傾向があります。しかし入口が近いほど「停めたい」と考える人も多く、全体的な交通量が多いです。
▽お互いの心理を知るのが第一歩
トナラーに関しては「する側」も「される側」も、お互いの心理を知ることが問題解決の第一歩です。 トナラー側は「不快に思う人が多い」と知ることで、自分の行動を意識できる場合があります。また「される側」も多くのケースで悪意がないと分かれば、これまでと比べて少し寛容になれるかもしれません。
また、トナラーに限らず、クルマのマナーに関する問題は多く存在します。中には知らず知らずのうちに「自分が迷惑行為をしている」という場合もありますので、自分の日頃の運転も振り返ってみてください。
■
(まいどなニュース/norico)