保護した猫が嘔吐、その中身に驚き お外の生活は過酷「本当にお腹を空かしていたのね…」
「民家のない餌場に突然現れた小柄な子 ボランティアさんが捕獲して手術。リリースの予定が、手術後吐いたものを見て絶句。大量ビニール、虫の足、ダンゴムシなど、、、(写真は閲覧注意) 捨てられ餌場もわからず彷徨い続けていたのでしょう」
今年8月11日、暑い夏の日の夜。臨港地区の民家のない埋め立て地の餌場に小さな体の猫が突如現れました。
同所を中心に猫のTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すこと)と、その後の地域猫としての見守り活動に取り組む動物愛護団体「築港猫倶楽部」のメンバー(以下、ボランティア)が、猫を捕獲。猫はお腹が空いていたのか、数分で捕獲器の中に。当時、軽くシャーと威嚇したもののすぐに落ち着いてケージの中ではおとなしくしていたといいます。
その翌日12日、ボランティアは猫を連れて病院へ。13日には避妊手術を実施し、当日夕方お迎えに行ってひとまずボランティアの自宅に連れ帰りました。すぐにボランティアは外猫たちの餌やりがあるため外出。急いで帰宅したところ、ケージの中に大量の嘔吐物があることに気付きました。
「最初何か吐いた?と目を疑いました。よく見てみると大量のビニールが…さらにゴキブリの足、ダンゴムシも混ざっていたんです。おそらく食べ物を求めていろんな所をさまよっていてお腹を空かしてしまい、食べてはいけないものをたくさん食べていたのだと思いました。手術前には麻酔で吐き戻し防止のため、前日夜は絶食していましたが、手術中に吐かなくて良かったです。ビニールなんて吐いたら喉に詰まらせて窒息するかもしれません。そのことを思うと、ほんとにタイミングが良かったと思います」
猫をこの状態でリリースすることは「無理」だと感じたというボランティア。「このままリリースしてしまうと、また同じことになるかもしれない。どこから来たのか分からない、餌場にたどり着くまでに何を食べたのかも分からない。そんな猫を再び外に放すことはできない」と、自宅で保護することになりました。
■ビニールや虫など吐いた猫、人を怖がらないとってもお利口さん
今回保護した猫は当時生後7カ月ほどの女の子。「セレ」ちゃんと名付けられました。そして病院でウイルス検査をしたところ、「猫エイズも猫白血病も両方陰性」となり、術後の体調も良好。そこで、里親募集をすることになりました。
セレちゃんは2週間ほど、保護したボランティアの家で過ごしました。セレちゃんの様子について「ケージでのセレちゃんは鳴くこともなく、暴れることもなく、しっかりご飯を食べて、おしっこもうんちも、猫用のトイレでしてくれた、とてもお利口さん。初めは緩めのシャーは言っていましたが、ケージのセレちゃんの様子を見に来る猫にも問題ありませんでした」とボランティア。「ただ、毎日の餌やりで帰宅時間が遅く、セレちゃんに対して満足に相手をしてあげられず。「築港猫倶楽部」代表から『うちで預かろうか』と声を掛けていただき、里親さんが決まるまで代表のお宅に預かってもらうことになりました」といいます。
代表の家でも、セレちゃんは元気いっぱい楽しく過ごせたとのこと。
「すぐに触れるようになりました。生まれてからずっと外の生活をしていたようには思えないくらい人を怖がりませんでした。鳴いてご飯の催促もしますし、ケージを開けて、セレちゃんと呼ぶと自分の頭を私の頭や手にすりすりしてきました。猫も好きみたいでうちの猫が近くに来ると甘えた声を出して呼んでいるようでした。ケージの中のおもちゃで1人遊びもよくしていましたね」(「築港猫倶楽部」代表)
9月18日には、大阪府東大阪市で活動する「あくあ保護猫シェルター」主催の譲渡会にセレちゃんも参加。セレちゃんのことを、築港猫倶楽部がX(旧Twitter)で投稿した際に「里親さんが決まらなかったら私が引き受けたい」という人が現れ、譲渡会に足を運んでくれました。トライアルを経て先住猫たちとの相性も問題なかったことから、手を挙げてくれた人がセレちゃんを正式におうちにお迎えすることになったそうです。
「ルナちゃん(セレちゃん)の里親になりたいと思ったのは、築港猫倶楽部さんのXの投稿を見て、こんないたいけな子がビニールや虫などを口にしてまで生きようとしていた姿に涙が出たからです。うちに迎えて、伸び伸びと猫生を送ってもらいたいと強く思い、すぐに築港猫倶楽部さんのその投稿に反応しました。とはいえ、我が家には先住猫が既に9匹もいるので少し遠慮気味ではありましたが、里親候補の列に並ばせていただきました。本当はもっともっと助けたい猫がたくさんいるのですが、個人ではこれが限界かなと思っています。うちにいる一匹一匹は助けられなかった猫たちの分も愛情を込めて飼育しています。ルナちゃんにもこれからは安心して食べたい物がたくさん食べられるようにしてあげたいです」(里親さん)
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築港猫倶楽部によると、セレちゃんが保護された場所は、臨港地区の民家のない埋立地。動物の遺棄が多いとのこと。同エリアなどで毎月第1日曜日に清掃活動にも取り組んでいるそうです。「餌場にごみがあふれかえっていて不衛生、また、セレちゃんのようにあまりの空腹でごみを食べてしまわないようにと、願いを込めての清掃活動です。とにかく猫たちのお外の生活は過酷。私たちは、少しでも心地よく過ごしてもらえるよう、頑張らないと!と思い、活動しています」と話してくれました。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)