ルーズ、三つ折り、紺ハイ…女子高生の流行たどる重要アイテム 50年の分析に驚き「細く見せるのは?」「こんなに違うんだ」
ソックスの流行の変遷を描いたイラストが大きな注目を集めている。
件のイラスト「女子高生ソックス50年史」を紹介したのはイラストレーターの森伸之さん(@gooitch)。
ハイソックス、三つ折りソックス、ルーズソックス…時代によって目まぐるしく移り変わってきた女子高生のソックスのトレンド。これは首都圏での流行を中心に記録したものだということだが、『森伸之の原色制服図鑑』(森田塾出版)など各種制服図鑑の著者として知られる森さんだけあってその分析にはうならせられるものがある。
SNSユーザー達から
「女子高生の靴下こんなに違うんだ...オシャレに敏感な子多いからかな?」
「上がったり下がったり弛んだり…忙しいな。」
「結局『布のたるみを使って相対的に足を細く見せる』のと『寒色系で引き締めて細く見せる』のとどっちが効果的なんでしょうね?」
「ルーズソックスという呼び名がまだ一般的じゃなかったあの頃、宝島系の雑誌ではクシュクシュソックスとか言ってた気がする(古の記憶」
「2009年ってけいおん!1期が放送された年なんですよね。それまで影も形もなかった黒タイツが突然受け入れられたのは偶然か必然か。」
など数々の声が寄せられるこのイラストについて森さんにお話を聞いた。
■イラストレーターに聞いた
ーーソックスの流行の変遷に着目したきっかけを。
森:自分が高校生だった1970年代後半から実在の学校制服をイラスト化する作業を始め、1985年に『東京女子高制服図鑑』を刊行。以来現在まで制服の着こなし全般について観察、記録を続けています。今回の図版は、それらの記録の中から「ソックスの流行の変遷」に焦点を当てたものになります。制服の着こなしの中でもソックスは流行の移り変わりが特に激しく、時代ごとの特色が現れるアイテムです。そこで約半世紀を一望できる図版を作ってみようと考えました。
ーーソックスの流行に法則や傾向のようなものは?
森:ソックスの流行、特に長さは、制服のスカート丈と密接な関係があります。単純に言えば「スカートが短くなるとソックスは長くなる」「スカートが長くなるとソックスは短くなる」というものです。
ーーなるほど。
森:いくつかのソックスの流行には、私服の流行の影響も見受けられます。80年代前半のハイソックスは当時の女子大生の間で流行っていた「ハマトラ」に、90年代半ばのルーズソックスは当時流行した「アムラー」ファッションに、2009年頃までに定着した黒タイツは2007年頃から流行り始めたカラータイツの影響を受けた可能性が考えられます。
ーー個人的に思い入れの深い、興味深いソックスの形状は?
森:個人的には流行が次に向かって動き出す過渡期のスタイルが面白いので、女子高生が厚手のソックスをくしゅくしゅさせて履いていた「(5)1990 ルーズ誕生前夜の姿」や、学校指定のハイソックスをたるませて短くしていた「(15)2016 たるませて短くする流行再び」のスタイルにひかれます。今は全国的に短いソックスが定番化していますが、この定番がいつどんな形で揺らぐのかに興味があります。
ーー投稿が反響を呼びました。
森:(1)から(16)までのソックスを履いていたほぼすべての世代の方から多数コメントをいただきました。実際にソックスを履いて通学していたからこそ知っているちょっとした小技、裏技の情報もあり、興味深く読ませていただきました。ありがとうございます!
また、地域や学校によって流行に時差や特色が出るということも、あらためて確認できました。ニーハイ(ニーソックス)が流行っていたというコメントが複数あったのは意外でした。これはおもに私服通学校が多い長野県からの情報で、制服風の私服…いわゆるフリー制服で登校するときにニーハイを合わせていたのかもしれません。この件、引き続き情報募集中です。
ーー男性の反応は。
森:ソックスの変遷を「ジオン軍のモビルスーツ開発史」にたとえる人、「プロ野球選手ユニフォームのパンツとストッキングのバランス」にたとえる人、「往年の名プロレスラー、ブルーザー・ブロディの足元」にたとえる人などがあり、女子高生のソックスに関しては永遠の傍観者である男子ならではのコメントが面白かったです。
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制服、近代建築、アイドル等に関する数々のイラストや文章を手がける森さん。最近では富士山ご当地アイドル「3776」のCD、アナログレコードのジャケットイラストを手がけ話題になっている。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)