2023年9月、福岡県行橋市で放浪していたところを保護された真っ白の小型のミックス犬がいました。その名はソウイチロウ（オス）。数年前、行橋市内のマルチーズの多頭飼育崩壊現場の飼い主から、何匹か未避妊のまま譲渡されたワンコたちがおり、このソウイチロウはそういった未避妊のワンコが産み、捨てられてしまったのではないかと推測される意見がありました。

確定できませんが、ソウイチロウを、動物愛護センターから引き出すことにした地元のボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねす（以下のスタッフ）は、こういった理由から引き出してすぐに動物病院へと連れていきました。

■当初の見立てよりも若かったソウイチロウ

いつもお世話になっている動物病院でまずはヘルスチェックをしてもらいました。ソウイチロウは初めて会う人に連れてこられた、知らない人だらけの環境にビクビク。目だけをキョロつかせながら「僕に何をするんですか？」と言わんばかりの不安げな表情でした。

動物愛護センターでは「生後4カ月～1歳ほど」と聞いていましたが、検査でわかったのは、まだ睾丸も降りておらず、小さな乳歯が大半だったことから「生後2カ月ほど」ということでした。持病などを診てもらったところ「今のところ、大きな異常はありません」とも。

生後2カ月ほどの段階で不安を強いられたソウイチロウを思うと、胸が痛むスタッフでしたが、持病がなく当初の心配が杞憂に終わったことには「本当に良かった……」とホッと胸をなでおろしました。

そんな空気を察したのか、不安そうな様子だったソウイチロウが看護師さんに懐いて尻尾をフリフリ。心配していたスタッフ、獣医師さん、看護師さん全員を笑顔にさせてくれました。

■甘えん坊、でも過剰なヤンチャぶりも

動物病院を後にしたソウイチロウは、はぴねすのスタッフの配慮で、懇意のサロンでトリミングをしてもらいました。その後、はぴねすに参加する預かりボランティアさんの家にいったん迎え入れられることになりましたが、程なくして苦手なことが判明しました。

それは留守番でした。預かりボランティアさんはどうしても家を留守にすることがあります。ソウイチロウはこの留守番がとにかく大嫌いのようで、ボランティアさんの外出を察知すると突き刺すような甲高い声で「キャンキャン」と鳴き続け、近所迷惑になるほどでした。

こういったことから言えることは、ソウイチロウを新しく迎え入れてくれる里親希望者さんは、常に家に誰かがいる環境が望ましいということです。

一方、預かりボランティアさんの家にいる先住犬とのコミュニケーションは十分で、常に他のワンコたちと部屋中を走り回り、楽しく元気いっぱいに過ごしています。

……なのですが、若さゆえ元気さが余ってときに、家にあるものを破壊し、電気コード引きちぎりを起こすこともありました。

「年齢的に落ち着けば、こういったイタズラもしなくなるはず」と預かりボランティアさんは考えていますが、こういったヤンチャぶりをも受け入れてくれる里親希望者さんだと、なお良いことでしょう。近い将来、ソウイチロウにピッタリの里親さんとの出会いが訪れることを強く願うばかりです。

わんにゃんレスキューはぴねす

http://happines-rescue.com/

（まいどなニュース特約・松田 義人）