分譲戸建てのメリットの一つに「同時期に同じ建材を手配し、同じ工事をすることでコストカットを実現」があります。数戸の似た外観・似た価格帯で、同時期に似たような家族構成の一家が引っ越してくることが多くなるものです。そんな「並びの分譲戸建て」だからこそ起こってしまった「うそでしょ！？」な隣人トラブル話を聞いてきました。

■「お宅の方が高いから」…いつまでそれを言い続けるの？

Aさん（関東在住、50代、主婦）一家が3戸並びの分譲戸建ての一軒を購入したのはもう20年も前のことです。もともと近所の賃貸アパートに住んでいて、分譲開発が始まることを早くから知っていたAさん一家は、日当たりがよいことを期待して東側と南側の2方向が道路になる角地を申し込みました。角地で他の2戸よりも土地の広さも3坪ほど広く、総額数百万円程度価格は高かったものの、圧迫感が少なく満足しているそうです。

ただ、3戸の真ん中で、いちばん土地も建坪も狭めでその分「安価だった物件」を購入したお隣さんからの「嫌味」攻撃に、住んで20年も経った今も悩まされているそうで……。

境界の柵にどんどん物を掛けたり、こちらの家の前に来客用の車を停めたり。迷惑なことをやんわり注意するたびに「ええ～お宅の方が高くていいお家じゃない？これくらいねえ？ウチの前はだいぶ狭いから……」と何かにつけて「高い家に住んでいるくせに」とゴネられます。Aさんはいつも「そんなに広い家がよかったら、いちばん安い家申し込むんじゃないわよ！！」と言いたくなるのをグッと我慢しています。

■「そっちだけ綺麗な外構、ずるいですよね」なんて言われても

Bさん（関西在住、30代、主婦）一家が購入した分譲戸建ては、外構がオプションになっていました。

「ウチは車の購入予定もないし、そのぶんガーデニングができるスペースが欲しいな」と思っていたBさんにとってはちょうどよいプラン。芝を敷き、アイアン風のフェンスやアンティークなポストなど自分の好みのエクステリアに仕上げました。

それが面白くなかったのが隣の奥様。

「家はほとんど同じなのに、外見がずいぶん違うからお宅だけ浮いてますよねえ」

「こっちは子どもも小さくてお金をかけられないのに、あれこれいいですねえ」

「クリスマスシーズンなんか、子どもがお隣みたいにしてってうるさいんですけどぉ」

顔を合わせるたびに「ズルい」と言われているものの、そんなことを言われると、余計に「もっと庭をきれいにしてやろう」という気になってしまうBさん。「お隣さん的には逆効果だと思うんですけどね？」と不敵な笑みを浮かべるのでした。

■オープン外構だから？子どもが勝手に遊びに来てしまう

Cさん（関東在住、30代、主婦）とお隣の家族は2人の子どもが同級生同士。入居したばかりのときは、心強くてうれしいなと思ったのですが、子どもが近い関係で家まで近いのはいいことばかりではない、と気付いたそうです。

今Cさんのいちばんの悩みは「子どもだけが勝手に家に来てしまうこと」。

上の子が幼稚園生、下の子が乳児で少し年が離れていることもあり、ママが赤ちゃんにかかり切りなことに退屈した上の子が、オープン外構の家の間の通路をぐるっと回ってリビングの掃き出し口から「遊ぼ－！！」と入ってきてしまうのだとか。

お友達の姿を見てしまった我が子はすっかりその気になってしまうし、季節のいい時期でも窓やカーテンを閉めておかないとのんびりもしていられないとイライラしているCさん。

「いっそ間に塀をたてて、子どもが行き来できないようにしちゃおうかなって……でも、その費用ウチだけが出すのおかしいですよね！？」……確かに納得いきませんね。

■クルマを乗り降りしているその場所は…うちの敷地です

2軒ならびの分譲戸建てを購入したDさん（関東在住、40代、共働き）一家のマイカーはコンパクトタイプ。平日は夫が仕事に行くのに使うため、日中はほとんど駐車場が空いています。

そんなDさん一家がイライラしているのは、お隣が大型バンタイプの車に乗り換えてからのことです。Dさん家の敷地とお隣の敷地に柵や塀などはなく、家の前の駐車場はつながっています。大きい車に買い替えてからというもの、敷地ギリギリまで寄せて停め、通行や車の乗り降りにDさん家の敷地を使うようになっていました。

「まだ、車が大型なもので申し訳ありませんの一言でもあれば納得いきますけど、一言もなしなんです！！　お宅のためにあけてるんじゃありませんけど？って言いたいし、ポールでも建てようかと思ったけど、それでトラブルになるのも怖くて…。仕方なく黙っているんですが、正直ストレスすごいです」

「これくらいなら」と思わずに、きちんと挨拶して良好な関係を築いたうえでのお願いなら、こじれなかったのかもしれません……。

（まいどなニュース特約・中瀬 えみ）