出るのか、出ないのか… 日本初?事故物件専門に「オバケ調査」をする会社が話題に もしも本当に出ちゃった時は…?
不動産の賃貸や購入に際して気になるのが「事故物件」ではないか。人によって受け止め方は様々だが、噂になるだけでも物件の価値は下がる。そんな中、日本初ともいえる「オバケ調査」を掲げ、話題になっているのが不動産コンサルティング会社「カチモード」(東京都新宿区)だ。はたしてオバケ調査の実態とは?…代表取締役の児玉和俊さんを取材した。
■日本初といわれる「オバケ調査」を始めた理由
映画「ゴーストバスターズ」の主人公さながらに事故物件の部屋に入り、近代的な装置を駆使し、オバケ調査に当たる。
「映画と違うのは、オバケ退治はしません」と児玉代表。本業は賃貸住宅の管理やコンサルティング業。2007年から賃貸不動産管理業界にて、新規管理受注営業や“リーシング” と呼ばれる空室へ入居者を斡旋する営業、入居者対応、リフォーム、大規模修繕、資産活用、相続対策、売買の実務に従事してきた。
この15年間で、室内の査定や市場調査など、かかわった物件は7000室以上。そんな中で事故物件にも数多く関わってきたという。
「最後の2年間は建物を管理する部門の責任者として、事故物件や遺族の方、建物所有者の方とも多く接し、事故物件の置かれている状況が15年間、ほとんど変化していないことに気づき、新たなサービスを創造する必要性を感じました」
それが、2022年12月の「カチモード」創業に結びついた。 会社名の由来は価値を戻す(カチをモドす)ことから「カチモード」になったとのこと。そして、児玉代表が考えるカチモードが戻すべき価値とは、不動産が本来持っている“資産価値”のことを指す。「オバケ調査を実施することでカチモードが食い止めたいのはこの損失であり 、回復させたいのはこの資産価値なのです」と力説する。
■日本初!?これがオバケ調査会社の「調査方法」
では、実際にはどんな調査をするのか聞いてみた。オバケ調査では賃貸管理業務15年以上の経験値を礎として、海外のオバケ調査会社の実例や日本国内の研究論文を参考に、現在も専門家の大学教授のアドバイスを受けながら行っているそうだ。
事故物件となった部屋が実際に賃貸できる状態になっているかどうかの確認 (当時の状況についての把握、特殊清掃、リフォームの状態確認など)からスタート。オバケ調査では以下の8項目を基本に実施しているという。
①映像録画
②音声録音
③電磁波調査
④大気圧測定
⑤温度・ 湿度測定
⑥風力測定
⑦サーモグラフィティ確認
⑧騒音調査
調査する部屋にはビデオカメラ2台をはじめ、ICレコーダー、電磁波調査機、室温・湿度・大気圧計、風力調査機(ポルターガイストのために使用)、サーモグラフィカメラ、騒音計測器などが設置され、思った以上に本格的な装備には目を見張った。
出るのか、出ないのか。時間帯は夜の10時にスタートして翌朝の6時までの「泊まり込み」が基本。オバケが出そうな深夜もしっかり調査してくれるのだ。
「その部屋を借りる入居者を、事故後初めての宿泊者としないように、との配慮もしています」と児玉代表。もちろん、不可思議なことがあれば、時間延長して調査することもある。
■異常があれば「懸賞金」を進呈!出なくても証明書発行
オバケ調査の内容は事故の経緯と併せて報告書にまとめられ、異常がない場合は「証明書」が発行される。聞けば、オバケ調査報告書は賃貸借契約締結時に入居者へ説明しなければならない「告知事項説明」にそのまま利用できるそうだ。
また、異常がなかった部屋の再募集に際してはその運用提案として、もし、その部屋でオバケが出た場合には懸賞金 (最大100万円)を入居者にお支払いする「懸賞金付きの部屋運用」というものも推奨しているという。
「これらはいままで存在しなかった事故物件を運用する際の“付加価値”となります」と児玉代表。反対にオバケ調査で異常があった場合、なんと調査依頼者に懸賞金が提供されるというから驚きだ。そして、オバケが出たその部屋はカチモードが相場相当の賃料で借り上げ、オーナーの収益を保護した中で継続調査を実施するという。
「異常のあった部屋は、特別な希少性を持った部屋ともいえる。そして、その希少性は事故物件の心理的瑕疵のマイナスを補うことができる」と児玉代表は指摘。話を聞いているうちに、なんだか怖かったはずのオバケも違ったように思えてきたが、実際には「説明のつかない気持ち悪さを感じた部屋もありました。非科学的なのですが、調べるとそれが事故物件だったという経験もあります」とも付け加えた。
■気になる一晩のオバケ調査費用は?
一晩の調査費は約5万円(+税、移動費・宿泊費別途の場合あり)とのこと。怖い思いで、 夜から朝まで本格的な機材を揃えて、調査する割には安価に思えた。ちなみに、その後の調査書類の作成を含めての価格だそうだ。なお、カチモードでは物件で事故が発生した際に通常オーナーや管理会社が遂行しなければならない業務にも対応できるという。
実際に利用した不動産オーナー(法人)は「建物内で事故があり、告知をすると入居を見送られる方もおられます。ですが、『ご供養の他に“オバケ調査”も実施し異常ありませんでした』と証明書をお見せすると、思わず笑顔が出たりして場が少し明るくなります。オバケ調査の証明書を新規募集時の営業に役立てています」と話す。
このオバケ調査がスタートして約1年。いまや、ネットでも話題になり、様々なYouTubeチャンネルにも取りあげられ、反響もすごい。実際はどうか分からないのに、事故物件という、その言葉だけで抵抗が生じ、住み心地を欠く状態に陥りやすくなる“心理的瑕疵”で悩まされている会社や個人には、救世主だといえそうなカチモード。今後の存在価値はもっと高まりそうだ。
◇ ◇
▽「カチモード」
東京都新宿区信濃町12-1 SANMOビル10F
TEL:070-8916-6822