夢はリノベで広いリビング 1800万円の中古マンション購入→業者が絶望の一言「この壁、なくせません」
今や、雑誌やメディアにも取り上げられることも多くなった中古マンションの「リノベーション」。古い家を自分が理想とする間取りやインテリアにすることができます。しかし、全ての部屋ができる訳でもなく、制限はあるようです。
■マンションリノベーションとの出会い
Nさん(関東在住、アパレルショップ勤務、20代)は夫(20代、IT系会社勤務)と2人で暮らしています。Nさんの趣味は休日に、カフェと本屋が一緒になった施設で、コーヒーを楽しみながら雑誌などで情報収集することです。
いつも通りコーヒーを頼み、読む本を探していると、リノベーションが特集されている雑誌を見つけました。Nさんはリノベーションという言葉はなんとなく聞いたことありましたが、どんなものかは知らなかったので、その雑誌を手にとってみました。
内容は、ボロボロと言っても過言ではない部屋が、リノベーションを通じて、新築同様のおしゃれで今時のデザインに生まれ変わるというものでした。ビフォー・アフターの写真を見て「本当にこんなことになるの?」と驚きました。
そして、それ以上に驚いたのは値段です。中古マンションや中古戸建をリノベーションした金額は、新築マンションを購入するよりも安くなるとのことでした。
正直、マンションの外観よりもおしゃれな内装の部屋に住みたいと思っていたNさん。自分にとてもぴったりな内容だと思い、夫にも相談し、時間をかけてリノベーションに最適な物件を探していくことにしました。
リノベーション会社に話を聞きに行ったり、不動産屋さんに行ったりなど、多くの場所に足を運びました。話を聞けば聞くほど、夢は広がり、物件も実際に内覧しに行きました。
すると、3LDKのマンションを2LDKにリノベーションしたら、とても広いリビングが実現できるのではないかと思う物件に出会いました。広いリビングに住むのが夢だったし、生活環境もよかったのでぴったりだなと思いました。
金額もリノベーション前で、1800万円ほど。リノベーションの費用合わせても予算の3000万円に収まる金額であったので、購入することに決めました。
■夢の間取りになるはずが
引き渡しも終わり、リノベーションする会社を何社か選定してお願いしました。
施工会社のデザインも大事にしましたが、費用を少しでも抑えたく、お値打ちに工事をしてくれる所を探すためにも相見積もり取りたかったためです。
金額を出すために、実際の部屋を見る必要があるとの事だったので、工務店の担当者と購入した部屋で打ち合わせしました。
「ここの壁をとって、リビングを広くしたい」と伝えたところ、工務店の担当者は、その壁を叩くなどして調べてはじめました。
すると、「ここはぶち破れない壁になっているので、それは不可能です」との返事が戻ってきました。しかし、その壁が取れなかったら、理想の大きなリビングは実現できなくなってしまいます。
もう一つ工務店の担当者から言われて発覚したのが、お風呂に「追い焚き」を付けれない部屋だということ。夫婦が帰ってくる時間が違うので、追い焚き機能はかなり重宝していたため、それだとかなり困ります。
ほかの施工会社にも見てもらいましたが、現況の図面を見せただけで「ここの壁は抜けないと思う」と言う業者もいました。もちろん、部屋を見てもらってもその意見は変わることがありませんでした。
結局、その壁は残してリノベーションする事になりました。
正直かなり落胆しました。部屋を見つけてもらった不動産屋の担当者からは、物件を買う時にそういったアドバイスをもらうことが出来ませんでした。せめて、購入する前にプロの方に見てもらうべきだったと、自分の計画性のなさにかなり落ち込みました。
しかし、リノベーション自体は、お願いした工務店の担当者が、とても素敵なプランを提案してくれました。読書が趣味ということを伝えると、ちょっとした趣味部屋を作る事などを提案してくれるなど、プロならではのアイデアがたくさん盛り込まれました。
最初は絶望までしたリノベーション計画でしたが、結果的には大満足の仕上がりになりました。
「将来の子どものことも考えると3LDKのままでも良かったのかな?と今では感じているくらいです」と、Nさんは教えてくれました。
◇ ◇
このような購入した物件で理想のリノベーションができなかったといった問題は起きやすいことなのでしょうか? アルファホーム名古屋株式会社でマンションコーディネーターとして、不動産仲介も担当している川本麻登さんに聞きました。
■実際に現場を見ないと分からないことも
ーーリノベーションをする際に、壁が抜けないなどの問題はあるのですね。
もちろんあります。マンションが壁式構造だとこういったことはよくありますね。リノベーションはなんでもできるという訳ではなく、マンションによっては出来ないこともたくさんあります。実際に壁をめくってみたり、床を剥がしてみないと、できること・できないことがわからないケースも多いです。ですので、実際に現場をみてから、プランナーが判断して提案することが多いですね。
ーーマンション探しのところから相談することは出来ないのでしょうか?
マンション探しは不動産で、リノベーション会社は別で探すものなのかと聞かれることは多いです。しかし、リノベーションをするのであれば別々はおすすめしておりません。
おすすめは、物件探しの段階から一緒に相談にのってくれるリノベーション会社です。Nさんのようにやりたいことがある人には、合う物件を探してくれますし、一般の方々には分かりづらい問題にも気づいてくれます。高い買い物になりますので、ぜひ失敗しない家探しをしてください。
◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社 マンションコーディネーター
(まいどなニュース特約・ヨシダ コウキ)