餌場を追われたの?お腹をすかせた地域猫 「飼育費は出すので助けてあげて」義妹からのLINEに心が揺れた
■餌場を追われて腹ペコの猫
さくらちゃん(メス・推定5歳)は、TNRされていたが、いつもお腹を空かせていた。京都府在住のSさんは、2023年7月10日頃に、義妹から「毎朝、通勤途中の同じ時間、同じ場所にTNR済のネコがいる。餌場を追われたのかいつもお腹を空かせている。」という連絡を受けた。
「近所の住人が人間の残飯をあげ始めたのですが、不衛生だと苦情が出たらしく、餌やり禁止になったそうです。けがをしていたのですが、義妹がコロナ感染中だったのと賃貸マンションのため飼うことができず、『飼育費は出すので保護してほしい』とLINEに書かれていました」
大阪で保護猫活動をしているwinさんに相談すると、京都で保護猫活動をしているNさんを紹介してもらえた。Sさんは、Nさんと連絡を取り合い、7月15日に保護することになった。
「前日に義妹から聞いていた時間に下見に行くと、人を警戒しながら猫はたたずんでいました。義妹に画像で確認してもらうと、その猫で間違いないと。当日、Nさんに捕獲器を設置していただくとものの15分ほどで捕獲は成功しました」
そのままNさんが動物病院に連れて行き、検査などのため一泊入院。その後、Sさん宅に来た。2023年7月16日のことだった。
■飼う以外考えられない
Sさん宅には、既に「おこまさんとえむこちゃん」そして預かりネコの「みうちゃん」がいて満員状態だった。
「義妹の願いということと、餌場を無くしてしまった猫のこの先の命を考えると飼う以外考えられませんでした」
さすが生粋の野良猫なので警戒心が強かった。1週間弱ごはんを食べてくれず、無理に食べさせようとしたら噛まれたり威嚇されたりした。
名前は、義妹がTNRの印の「さくらねこ」から「さくらちゃん」と名付けた。
怪我をしていると思っていた左前脚は先天的な奇形で、指が2本しかなかった。そのためなのか少し用心深い性格だが、自分より年下の「えむこちゃんみうちゃん」には鼻チュしたり、根は優しい性格だという。
「寝ているときに『スースー』と聞こえるほどの寝息をしていて、聞いている私達がほっこりします。さくらを家に迎えたことで、外で過酷な状況で生きなければいけない猫達のことを、なんとかしなければいけないとあらためて思いました」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)