「天才的な殺し屋が、大阪の街で日常生活」「元極道がエプロン姿の専業主夫に」ギャップとミスマッチが笑える異色マンガたち

近年、マンガの世界では元極道や元殺し屋が一般人となって過ごす作品が人気となるケースを多く見かけます。なかにはアニメや実写作品になったものもあり、今、注目のジャンルといっても過言ではありません。本記事ではそんな元極道や元殺し屋が活躍する作品をSNS上の声と合わせて紹介します。

■普通を知らない殺し屋が…

まずは2024年4月に日本テレビにてアニメ放送が決定した『ザ・ファブル』(作:南勝久)を見てみましょう。本作は2014年から2019年まで週刊ヤングマガジン(講談社)で連載され、2021年から続編開始となった『ザ・ファブル The second contact』は、2023年7月に堂々の完結を迎えました。また、2019年と2021年に岡田准一さん主演で実写映画も公開されるほどの人気作品です。

物語は主人公で天才的な殺し屋・通称ファブルが、人を殺しすぎた結果1年ほど休業して身を隠すところから始まります。ファブルは佐藤明と名乗り大阪で一般人として生活するのですが、「普通」を知らないファブルは枝豆を皮ごと食べたり、自転車で往復40分かかる道のりを超人的な体力によって20分で移動したり、一般人離れした行動で周りの人間を驚かせます。

また、本作では極道などのアウトローも多く登場し、シリアスな場面も多いです。しかしクスッと笑える描写もたっぷり描かれ、読者からは「人間味のある登場人物と、ギャグとシリアスのバランスが最高!」「心があったかくなって、涙もでちゃう魅力的な漫画」など多くの評価の声があがっています。

■でっぷり太ってしまったけれど…

伝説の殺し屋が主人公の作品といえば、2020年より週刊少年ジャンプ(集英社)で連載されている『SAKAMOTO DAYS』(作:鈴木祐斗)も忘れられません。本作の主人公・坂本太郎は伝説の殺し屋として、全ての悪党から恐れられる存在でした。スリムな体型で伝説の殺し屋としての風格もあった彼ですが、愛する女性ができたことで殺し屋稼業を引退します。その後、結婚し一人娘を授かる幸せを得た結果、でっぷりと太り伝説の殺し屋だった頃の姿は見る影もなくなってしまうのでした。

そんな坂本ですが殺し屋だったころの能力は衰えておらず、自分や家族がピンチの時は、太った体からは想像もできない素早い動きで敵を返り討ちにします。SNS上では「バトルにギャグ、魅力的なキャラが揃っていて超面白い」「ド派手なアクションと笑いの要素で飽きさせないマンガ」など、笑いの要素に注目したファンの声が多く見られました。

■強面なのにかわいらしい

また、坂本のように見た目と機敏な動きのギャップが面白いキャラだけでなく、見た目の怖さに反してほのぼのとした行動で笑いを誘う作品も存在します。それが元極道が主役の『極主夫道』(作:おおのこうすけ)です。本作は2018年からWebマンガサイト・くらげバンチ(新潮社)で連載され、2020年には玉木宏主演でテレビドラマ化、2021年にはNetflixでアニメ化されるなど人気を博しています。

主人公の龍は、かつて1人で抗争相手の事務所を潰すほどの力を持った伝説のヤクザでした。しかし結婚を機にヤクザの世界から足を洗って専業主夫となります。見るからに一般人ではない強面の龍が、エプロンをして妻のためにお弁当を作るシーンはかわいらしく「家事に奮闘する極道のミスマッチ感が面白い」「極道感覚の抜けてない龍の抜けてる雰囲気が楽しい」といった声が読者からあがっています。作画とギャグのギャップが面白さを引き出しているのでしょう。

   ◇   ◇

今回紹介した3作品は怖いイメージに笑いの要素をミックスしたことで、多くのファンに受け入れられた人気作品です。年末年始に一気読みするのも楽しいのではないでしょうか。

(海川 まこと/漫画収集家)

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