大ヒット日本酒「死後さばきにあう」の由来は?キリスト教の看板を見た蔵元がネーミング「死後の味が気になる」
お正月をひかえ日本酒を買い求める方も多いと思う。
筆者・中将タカノリも日本酒発祥の地とされる奈良県出身ということもあり若い頃からさまざまな日本酒を飲んできたが、2023年に存在を知り、とても気になる日本酒があった。
それは喜久盛酒造(岩手県北上市)の「死後さばきにあう」。
「死後さばきにあう」というフレーズはキリスト教団体「聖書配布協力会」が民家の壁などに掲出している、いわゆるキリスト看板で多用されているもの。この酒は、黒地に白や黄色でコピーを書いたあのインパクトあるキリスト看板の持ち味をそのままデザインにいかしているのだ。
なんと日本酒らしからぬ、しかし魅力的なアイデア…!
「死後さばきにあう」について喜久盛酒造五代目蔵元の藤村卓也さんに話を聞いた。
ーーこのネーミングを思い付いたきっかけ、商品化の経緯を。
藤村:キリスト看板は幼少期から身近な存在でした。仏教徒の自分にとってもグッとくる文言が多く、看板のカラーリングも好みで気に入った看板は撮影するなどの活動をしておりました。ある時ふと看板の「聖書」を「清酒」に変えたら日本酒のラベルに出来ると思い付き、試しに会社のパソコンで作ったラベルを一升瓶に貼ってInstagramに載せ「こんな酒があったら買う人いるかな?」と書いたところ、買いますというコメントが殺到した為、商品化することにしました。
ーー発売後の反響は?
藤村:2019年11月に発売し、キリスト看板に馴染みの深い東北地方でしか理解されない商品かと思いきや、ネット通販専門酒販店で売り上げランキング1位になったり、香港に輸出されたりと予想外の売れ方をしているのですが、タンク1本だけ仕込む限定商品の為、毎年すぐに売り切れてしまいます。そしていつも売り切れて在庫がなくなったタイミングで話題になります。
ーー喜久盛酒造では「タクシードライバー」「電氣菩薩」など個性的なネーミング、デザインの製品が多いですね。
藤村:家業を継ぐ前、日本酒の知識が無かった頃に居酒屋でメニューを見ても似たようなデザインや漢字の羅列だけでは何を頼んでいいのかわからず、もっとビジュアル的に訴求すべきだと考えていました。もともと漫画やイラスト、グラフィックデザイン等の観賞が趣味で、好きな作家さんとコラボしたいという願望もあり、日本酒にもレコードのジャケ買い的な要素を取り入れたいと思ってそういった商品展開をしております。
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藤村さんへのインタビューと前後して「死後さばきにあう」を入手した筆者。
身近な日本酒好きとその魅力に迫ろうと、醸造酒に特化したバー「スタンドねこしゃん」(神戸市兵庫区)店主、神戸電鉄親善大使ののぞみさんと共にボトルの封を開けた。
店主:ほどよく熟成されていて、6号酵母特有の穏やかなフルーティーな香りがします。喜久盛酒造は「タクシードライバー」の印象があったからもっとどっしりしたお酒かと思ったけど、意外にスッキリした味わいです。
のぞみ:スイスイ飲み続けられますね。「死後は意外に楽しかった」みたいな(笑)。
ーーお酒だけでも楽しめるけど、バランスがいいから食中酒としてもいいかもしれませんね。
店主:ほどよい酸味があるから、脂っこい料理と合わせてもいいと思います。ネーミングやデザインのインパクトが先行しがちだけど、お酒自体もとてもしっかりしてると思います。普段飲みなれない方にも、日本酒ファンにもおススメできるお酒ですね。
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「死後さばきにあう」は日本酒専門店やウェブ通販での購入がおススメ。日本酒ファンの方はぜひゲットしてお正月の宴のお供にしていただきたいが、くれぐれも死後さばきにあわない程度の紳士的な飲み方を。
喜久盛酒造株式会社
岩手県北上市更木3-54
スタンドねこしゃん
所在地:兵庫県神戸市兵庫区水木通1‐4‐5
営業日、営業時間については公式Xアカウント(https://twitter.com/standnekobe2016)を参照
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)