帰国子女はうらやましい? あだ名は「ウープス」、英語の教師には「バカにしてるのか」…当事者が明かす日本での苦労
「帰国子女」ーー保護者の海外勤務に伴い、一定期間以上を海外で暮らし、日本に帰国した児童や生徒のこと。20代の日本人女性「とりい」さん(@expatorii)もそんな1人。3歳から10歳までをアメリカで過ごし、小学生のときに日本に帰国。海外生活やネイティブな英語の発音をうらやましがられ、くり返し掛けられた言葉は「帰国子女いいなー」。しかしその陰では、同級生や教師による理不尽な態度に悩まされていました。
■英語の発音めぐり「自慢だ」と笑われ…
日本に帰国後、小学校で何かの拍子に「oops!」と英語が口をついて出たことから、あだ名は「ウープス」に。中学の英語の授業では、身につけていた発音通りに音読しただけで、クラスメートから「自慢だ」と笑われたことも。この出来事は苦い記憶になり、高校ではわざと「カタカナ英語」で音読。すると今度は教師から「バカにしてるのか」と怒られる始末。
「自慢だと笑われたのを教訓にして、まわりに合わせてみたらバカにしてるのかと言われたので、正直どうすればいいか分からなかったです。自慢したつもりも、バカにしたつもりもありませんでしたが、相手が不快に感じてしまったことを反省し、同時に悲しく思いました。アメリカの学校では個性を大事にすることを教えられましたが、日本では他人と違うことにとても敏感でした。その考え方の不一致に戸惑ったこともありました」(とりいさん)
とりいさんは日本での小、中、高校生活は周囲の反応に翻弄され、「肩身狭く生きてきた」と振り返ります。
■大学卒業後は…「日本を出ました」
そして大学進学後。100人ほどの学生がいる教室の中で、ある出来事が起こります。
「大学時代、ノースリーブを着て授業を受けていたら、教授から『そこの方、立ってください』と言われ、100人ほど学生のいる教室で立たされました。教授は『この方はイスラム圏の国に入国できません。なぜでしょうか?』と教室に問いかけるのです。『彼女はノースリーブを着ている。過度な露出であり、イスラム圏の国では『ビッチ』とみなされ、入国することができません』と大勢の前で言われました。例えとして私を立たせたこと、自分を否定され見せ物にされた気がしたことに、とても傷つきました」
これがきっかけになり、とりいさんは海外で生きることを選びます。
「『他人のことは気にせず、私は私らしく』と思いたかったのですが、それによって私自身が『常識知らず』と思われてしまう可能性があるのも損な気がしてしまいました。私が考え方を変えるのではなく、私の考えを受け入れてくれる場所に行こうと思い、日本を出ました」(とりいさん)
■SNS「クスクス笑う雰囲気大嫌い」
とりいさんは大学を卒業後、21歳でドイツに渡り、現地で就職。ドイツでの生活は5年になります。仕事のかたわら、YouTube「expaTORII Life in Germany」やSNSなどで日々の暮らしぶりを発信しています。自身のX(@expatorii)に帰国子女の苦労を投稿すると拡散。ユーザーから「私も笑われた思い出が」「同じ経験あります」「先生のかわりに例題を読まされる」「上手に読んだらクスクス笑われる雰囲気大嫌い」「できる人の足を引っ張ってる」「日本はまわりと同じじゃないとダメなのか」などの声が寄せられています。
(まいどなニュース・金井 かおる)