アパートに猫16匹が猛暑の夏から置き去りに 現場はごみの山にふん尿だらけ、頭蓋骨も…なぜ、こんなことに?
高知県内のとあるアパートの一室で16匹の猫たちが置き去りになっていたことが分かりました。
地元で愛護活動に取り組むNPO法人「アニマルサポート高知家」(代表・吉本由美、以下アニサポ)に、飼い主の知人から「猫たちが置き去りになって大変なことになっている。どうすればいいか?」との相談があったとのこと。SOSの連絡を受けたアニサポのメンバー掛水さんたちは12月16日、保健所や社会福祉協議会、大家、飼い主の立ち会いの元、猫たちが置き去りになった現場に入りました。
すると「絶句した」という掛水さん。玄関に入るやいなや、ごみが山積みに。さらに奥へ歩み進めるとごみとふん尿だらけ…猫の死体や頭蓋骨などが転がり、室内は異様な臭いに包まれていたといいます。
「これまで多頭飼育崩壊の現場などに多数入ってきましたが、今回は絶句するほどひどい状態だと思いました。飼い主さんいわく、野良猫を部屋に持ってきてから20匹くらいにまで増えてしまったと聞きました。働いていらっしゃいましたが生活に困窮されていたようで。税金の滞納や猫の多頭飼育でネグレクト状態だったことから行政や警察などが入り、生活の改善を求められていたとのこと。
しかし、改善が見られなく今年の夏には電気を止められエアコンが使えなくなり、アパートを出て野宿をしたりご友人の家などに身を寄せたりしていたとか。置き去りになっていた猫たちのために飼い主が何日か1回餌やりに帰り、また近所さんと大家さんのお子さんも時々餌やりに入ってくれていたそうですが…体力のない猫たちは死んでしまったようです」
■猛暑の夏から置き去りにされた猫たち 体力のない猫は息絶え、生き残ったのは3歳以下の若い猫
掛水さんによると、部屋のライフラインはほとんど切られており、かろうじて水だけは出ていたとのこと。そこで、大きな鍋に水を入れたところ、餌より先に水に猫たちが群がり必死に飲んでいたそうです。
「猛暑の夏から置き去りにされたという猫たち。カーテンもなく窓も締め切られ喉も乾き、お腹も空かせ飼い主の帰りを待っていたのでしょう。水をあげたら、一斉に集まって飲んでいました。猛暑だった今年の夏は満足に水を飲めなかったと思うので、おそらく腎臓病になっている可能性も。また生き残っていた16匹は、3歳以下の若い猫ばかりで雄が10匹、雌が6匹。そのうち14匹が去勢避妊手術をしていませんでした」
最終的に、16日と17日の2日間にわたり、捕獲器を使うなどして16匹全ての猫たちを保護。そして飼い主は「猫たちを返してもらってもまた同じことになったらかわいそう」と飼育放棄を決意し、猫たちの所有権はアニサポに。年末までに全ての猫に去勢避妊手術をし、さらに血液検査、ワクチン接種などを行い順次里親募集をするそうです。
「猫たちはどの子もかわいらしい顔をしていて、こんな状況でも人懐っこい子ばかり。最初はかわいがってお世話をしていたのでしょう。ちょっとしたことで歯車が外れて生活困窮、飼育放棄……となってしまったことはとても残念です。里親探しはスムーズにいくかどうか分かりませんが、せっかく助かった命です。何とか幸せにつなげたいと思います。また元飼い主さんは、私たちが猫を引き取った後、室内をお掃除してもらい生活をあらためていくことを約束しました。これからもサポートしていくつもりです」
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今回保護された猫たちの里親募集中です。対象は高知県内の方に限ります。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)