駅徒歩15分で築40年…だけど、リフォーム済でキレイに見える1100万円台の中古マンション「これはお買い得なのか?」夫婦で意見は真っ二つ
都心部の新築マンションは、とても手が出ない売り出し価格が並んでいる。そこで中古マンションも視野に入れてみたものの、条件が良い物件はインターネットの物件情報に出てくる前に買い手がついてしまう状態……。そんなマンション売買の活況ぶりに、「マイホーム購入なんてできない」と挫折しそうになっているご家族、少なくありません。
マンションに限らず、住まい選びの重要な条件として「予算」がありますが、何を優先するのがいいか、それぞれの決断があります。「23区内のファミリーマンション物件は手が出ない!!」との思いから、Aさん(東京23区内在住、30代、共働き)一家も悩んでいます。
■家賃補助が切れるまであと2年…どうする?
これまで社宅扱いで半額家賃補助があったため、会社から家までドアツードアで40分程度の東京23区内マンションに住んでいたAさん。家賃補助の期限切れが近くなってくるにつれ、同じく23区内でのマンション購入を検討し始めました。
しかし、、いざ物件を探し始めると、ニュースで見聞きする通り、新築マンションの価格に驚くばかり……。いくら共働きでダブルローンが可能でも、生活の余裕がまったくないローンを組むことは考えられません。
そこで、次に23区内の中古マンションに目をつけましたが、インターネットの物件情報サイトでチェックした物件はどれも一長一短、これぞというマンションを見つけることはできなかったそうです。
とはいえ、家賃補助の期限が切れるまであと2年、Aさん一家は焦り始めます。
そこで、これまで「避けていた」条件を含め、幅広く検討してみることを決断。たくさんの物件情報を見てみることにしました。
・駅から徒歩やバスで15分以上
・電車の高架沿いや幹線道路に面している
・築年数が50年以上
・60㎡前後のファミリー向けではない物件
・4階建て4階、エレベーター無し
・周辺に商業施設や学校、病院が少ない工業エリア
・学区の評判が悪いエリア
・23区外でも会社まで1時間以内で行ける
…ここまで条件を拡げてみたところ、やっと複数の「予算内」物件を見つけることができたそうです。
■将来のリスクをまざまざと見ることに
予算内におさまるマンションのなかから、少しでも希望の条件に近い物件を探すAさん一家。
埼玉県で直通電車がある各駅停車駅に、2LDKで60㎡・駅徒歩15分・築40年の中古マンションが1100万円台で売りに出されているのを見つけます。リフォーム済みで、写真では綺麗な内装になっています。
しかし、この物件をめぐって夫婦の意見は真っ二つ。
夫は「予算よりも大幅に安い。この物件価格ならフルローンでも毎月負担は少ないし、家よりも旅行や車にお金をかけれる!」
しかし、Aさんは「いくらなんでもそんな場所、生活に不便すぎる。だいたい、今でも1100万円台だなんて、将来も価値があるって思えない!!」
…「とにかく見るだけ見てみよう」という夫に押し切られたAさん。「このまま勢いで申し込みすることになったらどうしよう」と、先に一人でマンションの偵察に行くことにしたそうです。
写真では綺麗にリフォームされている様子でしたが、1時間ほどマンションを周辺からじっくり観察したところ、ドアの凹みや窓ガラスのひびが放置されている部屋が目に付きました。外壁の継ぎ目や窓枠まわりのコーキングも劣化していて、廊下の灯りも古い蛍光灯のまま。マンション管理がうまくいっていないのではないかと感じられました。
出入りする住人も多くが高齢者で、すでに居住者がいないであろう、ガムテープで封鎖された郵便受けも少なくありません。
金額に乗り気だった夫も、その状況をAさんから聞くと、「そんなマンションに入って、理事にでもなったら大変だ……」と、さすがに意気消沈してしまいました。
それをきっかけに、中古マンションから、現在は分譲戸建てを探す方向にシフト。今でも家探しを続けているそうです。
実際に足を運んだからこそ感じられる「将来のリスク」…それも、中古マンションを検討する上で大切なポイントです。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)