「ポイ活」で稼いだポイント…「所得税」はかかりますか? 確定申告が必要なケースも【FPが解説】

最近はポイントの利用価値が広がり、ポイ活を副業にする人も増えてきました。中でも、バーコード決済のポイント目当てにポイ活をしている方は多いと思います。そこで気になるのが「ポイ活で稼いだポイントは所得になるのか」という点です。所得税がかかったり、「確定申告」が必要になったりするのか、FPが解説します。

■そもそもポイントは所得になるのか

まずはポイントの所得としての取り扱いですが、これはポイント付与のされ方によって異なります。ポイントが所得になるか否かの判断は以下のとおりです。

・買い物で付与されたポイント:課税対象外

・買い物以外で得たポイント:利用額が課税対象になる

この判断は、国税庁のWebサイトに詳しく解説されています。

※国税庁・タックスアンサー(よくある税の質問)「No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」

ここでは、国税庁Webサイトの内容に基づき、要点を解説していきます。

【注】ここで解説するのは個人がポイントを取得・使用した場合です。個人事業者がポイントを取得・使用した場合の取り扱いは別途確認してください

■買い物で付与されたポイントは課税対象外

TポイントやPontaポイントなど、買い物をしたときにポイントが付与されるケースです。これらのポイントは基本的に課税対象外となります。

   ◇   ◇

商品購入に対する通常の商取引における値引きを受けたことによる経済的利益については、原則として課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱っています

※国税庁・タックスアンサー(よくある税の質問)「No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」

   ◇   ◇

これは、ポイント付与が「値引き」と同等の行為として取り扱われているためで、国税庁Webサイトに以下のように記載されています

   ◇   ◇

一般的に企業が発行するポイントのうち決済代金に応じて付与されるポイントについては、そのポイントを使用した消費者にとっては通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものと考えられますので、こうしたポイントの取得または使用については、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱うこととしています。

※国税庁・タックスアンサー(よくある税の質問)「No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」

■買い物以外で得たポイントは使うと一時所得

ポイント付与のキャンペーンでポイントが当選した場合や、アフィリエイトでポイントが付与された場合など、買い物以外で得たポイントは、「ポイントを使用した場合」に、ポイント相当額を一時所得として扱います。

これは、国税庁のWebサイトに以下のように記載されています

   ◇   ◇

ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に取得したポイントについては、通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものとは考えられませんので、そのポイントを使用した場合には、その使用したポイント相当額を使用した日の属する年分の一時所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。

※国税庁・タックスアンサー(よくある税の質問)「No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」

■注意:所得控除の対象となる支出に使った場合

医薬品のように所得控除の対象となる支出にポイントを使用した場合、ポイントがどう付与されたかに関係無く、以下いずれかの方法により所得金額及び所得控除額を計算します。

・ポイント使用後の支払金額を基に所得控除額を計算する方法

・ポイント使用前の支払金額を基に所得控除額を計算するとともに、ポイント使用相当額を一時所得の総収入金額として算入する方法

ちなみに、ポイントを使用して株式等を購入した場合は、その株式等の取得価額をポイント使用前の支払金額を基に計算し、ポイント使用相当額を一時所得の総収入金額に算入することになります。

少しややこしいため、詳しく知りたい方は国税庁のWebサイトをご覧ください。

※国税庁・タックスアンサー(よくある税の質問)「No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」

■ポイントが分類される「一時所得」とは?

買い物以外で得たポイントは使用した場合に一時所得として計上しますが、そもそも一時所得とはどのようなものなのでしょうか?ここでは一時所得の基本と所得・税率の計算方法を解説します。

▽一時所得とは

一時所得とは、所得税法により以下のように定義づけられています。

   ◇   ◇

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。

※国税庁・タックスアンサー(よくある税の質問)「No.1490 一時所得」

   ◇   ◇

つまり、事業利益や給与、資産の売却などにより得た所得に該当しない、一時的な所得ということです。一時所得の例は、国税庁が以下のように具体例を挙げています。

   ◇   ◇

・懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます)

・競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます)

・生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます)や損害保険の満期返戻金等

・法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます)遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

・資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの

※国税庁・タックスアンサー(よくある税の質問)「No.1490 一時所得」

   ◇   ◇

▽一時所得の計算方法

一時所得の金額は、得た全額を計上するわけではありません。

収入を得るために支出した金額と特別控除額を用いて以下の式により計算します。

・一時所得の金額=総収入金額 – 収入を得るために支出した金額(※) – 特別控除額(最高50万円) 

(※)対象となる収入が発生するため、もしくは対象となる収入発生の原因となる行動に擁した金額

▽一時所得の所得税の計算方法

一時所得の所得税は、一時所得単体では課税されず、給与所得や事業所得など、ほかの所得と合算したのちに課税されます。これは「総合課税」という方法により管理されるためです。また、ここで算入される額は、一時所得の計算方法により算出された額の1/2相当額です。

ちなみに、ポイントは該当しませんが、一時所得の中にもほかの所得と切り離して考える「源泉分離課税」が適用されるものもあります。例えば、一時払養老保険や一時払損害保険で一定の要件を満たすものの差益などが該当します。

詳しく知りたい方は国税庁のWebサイトをご覧ください

※国税庁・タックスアンサー(よくある税の質問)「No.1490 一時所得」

■ポイ活で確定申告が必要なケース

ポイ活で確定申告が必要なケースの基本は、一時所得の計算を行った結果、所得額が発生した場合です。具体的には、年間で得た一時所得から、収入を得るために支出した金額と特別控除額50万円を差し引いても所得額が残っている場合となります。

例えば、年間80万円を得た場合、収入を得るために支出した金額が0円であれば、特別控除額50万円を差し引いても30万円が残るため、確定申告が必要となります。

また、この際確定申告に計上する額は30万円の1/2相当額である15万円です。

▽給与所得者の場合

ここで注意したいのが、一般的な給与所得者に該当する場合です。一般的な給与所得者は、その給与以外の所得金額が年間20万円を超えない場合には、確定申告をする必要がないため、確定申告が必要になる所得額が変わってきます。

例えば、年間80万円を得た場合、収入を得るために支出した金額が0円であれば、特別控除額50万円を差し引いても30万円が残りますが、確定申告に計上する額は30万円の1/2相当額である15万円であるため、20万円以下となり確定申告は不要となります。

■本格的にポイ活する場合はルールを覚えておこう

ポイ活は日常的な範囲であれば確定申告が必要になることはほぼありません。ただし、ポイ活を副業にするような、十万円単位で稼ぐ場合は確定申告が必要となる場合も考えられます。

ポイントの利用価値は年々高くなっていますが、しっかり稼ぐならルールの把握はマストです。今一度、ポイントの所得としての取り扱いや確定申告が必要な場合を確認しておきましょう。

(まいどなニュース/FPオフィス「あしたば」)

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