「リビングを広々と」夢のリノベ計画が逆効果 3LDK→1LDKにしたら資産価値低下 売却時に500万円の痛手
理想の間取りは人それぞれあると思います。家族も多いのでそれぞれの部屋が必要で4LDKにしたり、逆に夫婦二人暮らしなので2LDKや1LDKにしたりなど、家庭環境によって変わってくると思います。今や、マンションや戸建てもリノベーションで間取りを自由に変更できる時代です。ただ、あまりにも変わった間取りにすると将来的に困ることもあるようです。
■今のマンションの悩み
Sさん(愛知県在住、40代、専業主婦)は夫(40代、商社勤務)との二人暮らしです。
子どもはおらず、マンションを購入するか悩んでいましたが、夫の家賃補助がなくなるということもあり、良い機会かなとも思い、マンションを購入することに決めました。
ただ、3LDKほど、部屋数は必要がないと思っていたので1LDK~2LDKの範囲で探すことにしました。
しかし、探していても、立地はいいが部屋が狭かったり、逆に4LDKで広すぎて持て余してしまいそうだなと思ったり、中々良い物件に出会うことができませんでした。
そんな中、SNSで家を調べているとリノベーションで間取りを自由に変更できることを知りました。
とても気になったので、早速問い合わせをしてショールームにいくことになりました。
■リノベーションならできる自由な間取り
話を聞いた担当者によると、実際に部屋を見てみないと分からないところはあるが、ある程度なら自由に間取りを変更できるとのことでした。以前、部屋の立地はとても良く、マンションの設備なども気に入っていたけれども、3LDKと広く、諦めたマンションがあったので、そこのマンションをみてもらうことにしました。
部屋を実際にみてもらうと、1LDKにして、リビングを広くするとともに、クローゼットなども充実させることができそうだと言われました。また、マンションを購入してリノベーションしても予算の3500万円程度に収まるとのことでした。
話をしているうちに、イメージも湧き素敵に仕上がりそうだと思ったので、お願いすることにしました。完成した時も大満足な仕上がりになり、夫婦幸せに暮らしていました。
■夫の転勤が決まって
マンションに引っ越してから、5年程経った時に、夫の転勤が決まりました。マンションを離れなければいけないのがとても寂しかったです。
まだ、住宅ローンも残っていたので、賃貸に回すこともできず、またこの地で住める保証もなかったので、マンションを売却することにしました。
不動産屋さんに相談して、部屋をみてもらいました。住んでからは、綺麗に使っていたので、リノベーションの費用もある程度乗せて売却できると思っていました。
しかし、不動産屋の担当者からは「1LDKだとここの地域は高値では売れないかもしれない」と言われました。
Sさんのマンションがある地域はファミリー層に人気があるエリアなので、部屋数が3LDK欲しいという、購入者が多いそうです。
そう言われましたが、最初は空き家にして、住宅ローンも残っていたので希望の価格で販売してもらいました。
しかし、販売活動をしてから半年経っても売ることができず、住んでもいない部屋に毎月マンションの管理費と修繕積立金を支払い続ける事態に。
「今の価格では売れない」ことがわかったので、希望価格より200万円下げて販売しました。
ある日、さらに300万円下げた金額なら購入者がいると、連絡が来ました。最初の予定より500万円も下がった提案ではありましたが、先が見えない不安もあったので、了承して売却しました。
「正直、転勤はあまり考えていなかったので、1LDKという選択をしましたが、売却のことまで考えて、間取りを検討すれば良かった」とSさんは教えてくれました。
こういった問題は起きやすいことなのでしょうか?
アルファホーム名古屋株式会社でマンションコーディネーターとして、不動産仲介も担当している川本麻登さんに聞きました。
■売却のことも考えたリノベーションも大事
ーー実際にマンションの資産価値は1LDKだと下がってしまうものなのでしょうか?
一概に、1LDKが悪い訳ではないです。1LDKにするからこその、収納や広いリビングなど実現できますからね。
しかし、子育て環境が良いエリアや、学区が人気なエリアはファミリー層が多いです。なので子ども部屋が欲しいので間取り数が多い部屋をお客様は探します。私のお客様でもそういった方は多いです。
ーー売却のことも考えたリノベーションは大事なのですね。
マンションは戸建てよりもリセールがしやすいイメージがありますので、購入の時にリノベーションの会社や不動産の方に、どういった間取りが人気か聞いた方が良いかもしれませんね。
1LDKでも、売却時にお客さんが探し求めていたものであれば売れるので、全くダメではないのですが、万人受けする間取りにして、売却できる確率をあげることを考えても良いのかもしれません。
◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社 マンションコーディネーター
(まいどなニュース特約・ヨシダ コウキ)