『ブギウギ』特攻隊員らに捧げた「別れのブルース」…茨田りつ子が涙の熱唱 制作統括が語るキャスティング裏話
「元気で征きます!」「思い残すことはありません!」ーー。『ブギウギ』(NHK総合)第14週「戦争とうた」本日1月5日放送の66話で、茨田りつ子(菊地凛子)が歌う「別れのブルース」を胸に飛び立っていった特攻隊員の叫びが耳から離れない。鹿児島(史実では知覧)の海軍特攻基地を慰問公演で訪れていたりつ子は、隊員たちのリクエストに応えて「別れのブルース」を歌う。りつ子のモデルとなった淡谷のり子さんの実話を元に作られたこのシーンについて、制作統括の福岡利武さんに聞いた。
■「背中を押していいのか悪いのか、複雑な思い」。演じる菊地凛子は緊張
「淡谷のり子さんの逸話の中でもこの特攻隊慰問のエピソードは、『ブギウギ』の中でぜひ描きたいと思ったところです。撮影の日、りつ子を演じる菊地さんはとても緊張されていました。やはり『普通のお客さん』ではない、特攻隊の隊員たちの前で歌うということで、より複雑な思いがこもっていたのではないかと。涙を流しながら、とてもいい顔で歌っていらっしゃいました。実際、まだ年若い隊員たちが、淡谷さんが歌っている途中で席を立ち出発していったという逸話も残っているので、『背中を押していいのか悪いのか、本当に複雑な思いです』と菊地さんがおっしゃっていたのが印象に残っています」
■「死に征く」特攻隊員。役を理解した上で「ぜひやりたい!」という俳優にオファーを
また、数十人におよぶ特攻隊員のキャスティングについても特別な思いがあったようで、こう続けた。
「特攻隊の隊員を演じていただく俳優さんたちについては、丁寧に慎重に選ばせていただきました。20歳前後の若い俳優さんたちに、坊主頭にしてもらうことも含め『特攻隊としてこれから死に征く』という役どころを説明しまして、そのうえで『ぜひやりたい!』という方にお願いしました。演じる皆さんそれぞれに、特攻隊を描いた映画などを観てもらったり、日焼けしてもらったりして、しっかりと気持ちを作ってきてもらえたのが、僕としてはとてもうれしかったです。出来上がったシーンでは皆さん実にいい表情をしていて、説得力と緊張感がありました。『こんなに若い青年たちが……』と、見ていて僕も複雑な心境になりました」
「戦争とうた」。この週タイトルについて深く考えさせられる14週だった。ドラマは次週15週「ワテらはもう自由や」でやっと終戦を迎える。
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『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00~11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽NHK BS・NHK BSプレミアム4K
毎週月曜~金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25~10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)
(まいどなニュース特約・佐野 華英)