初めて接する人間にオドオド それでも頑張る子犬に朗報が届いた!「もっともっと幸せになるんだよ」
野犬だった保護犬を多く迎え入れることで知られる保護団体、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。2023年3月、このピースワンコに野犬のオスの子犬が保護されました。生後4カ月ほどで名はラグアス。初めて接するであろう人間にとにかくオドオドしていました。
■あまりの恐怖からウンチを漏らしてしまうことも
ピースワンコではワンコを保護した後、一定期間を検疫犬舎で過ごしてもらいます。健康状態を確認するためと、感染症などがあった場合、他のワンコにうつすことがないようにするためです。ラグアスには重篤な持病などがなかったため、保護から約1カ月後にはピースワンコの岡山譲渡センターへ移動。すぐに里親募集をスタートさせることにしました。
それまで過ごした検疫犬舎に比べ、岡山譲渡センターは当然人の出入りがあります。里親希望者さんや関係者が出入りするため、ラグアスはさらにビクビクするようになってしまいました。
散歩トレーニングのためにハーネスを着けようとスタッフが近づくだけでとても怖がり、目を泳がせたり体をガチガチに固まらせたりし、恐怖心からウンチを漏らしてしまうこともありました。どうにかこうにかしてハーネスとリードを着けても、一歩屋外に出れば怖くて座りこんでしまうこともありました。
■ついにラグアスの尻尾が上がるようになった
幼い子犬が知らない場所に連れてこられ、知らない人たちと暮らすことになったのですから怖がるのは当然です。ですが、月齢の若い子犬だからこそ、恐怖心も克服しやすく新しい環境や人に馴れやすいのも事実です。日に日にラグアスは環境に馴れ、当初こそ尻尾を下げてオドオドしていましたが、他のワンコと一緒に散歩に行くと尻尾を上げてルンルンと歩くようになってくれました。
知らない人がいる室内でも他のワンコと一緒なら楽しく大はしゃぎする様子も。譲渡会や「ふれあいイベント」でも、他のワンコに混じって初対面のお客さんの手から素直におやつをもらえたこともありました。
ほんの数カ月前までは、オドオドして一歩も動けなかったワンコが、短期間でこんなに成長したのです。スタッフだけでなく知らない人とも少しずつコミュニケーションが取れるお利口さんになっていきました。
■成長したラグアスに舞い込んだ「うれしい挑戦」
人間がいる環境に慣れること、人間に近づかれても動じないこと、人に触られても動じないこと。ラグアスはここまでにたくさんの「新たなハードル」を乗り越えてきました。
そんながんばり屋さんのラグアスの元に、うれしい知らせが舞い込みました。ピースワンコのインスタグラムでラグアスを知った人からの連絡で、「ラグアスを家族に迎えたい」という申し出でした。
果たしてラグアスはこの家庭へと巣立っていきました。ずいぶんと人馴れをしたラグアスでしたが、今度は他の犬がいない中、新しい家族と一緒に暮らすことになります。この点を心配するスタッフは、里親さんがお迎えに来る日までの間に「少しでも家での生活に慣れてもらいたい」と、スタッフの家でお泊まりをする練習を始めました。
当然、人間が暮らす家の中は、それまで過ごした施設と違って、見たことのない物や聞いたことがない音がたくさんあります。案の定、最初は怖くて座りこんだまま一歩も動けなかったラグアスでしたが、それでも大好きなご飯の時間になると、しっかりと食べることができるようになりました。
新しいお家でも新たな挑戦が始まりますが、これまで乗り越えてきたラグアスです。これから先には、いままで味わったことのない幸せな瞬間が待っているはず。これからの犬生がたくさんの愛情と幸福に包まれることを願うばかりです。
ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp/
(まいどなニュース特約・松田 義人)