前のクルマにぴったり追走…ETCを支払い逃れ 悪質な「カルガモ走行」後を絶たぬ逮捕者
カルガモ走行とは、前走車の後ろに車間距離をあけず、ぴったりくっついて走行することです。特に、高速道路の出口でETCセンサーに1台の車両と誤認させ、料金を払わず不正通行する行為を指します。カルガモの雛が親鳥の後ろをくっついて歩く姿から、このような名称がつけられました。かわいらしい名前と裏腹に悪質な行為で、逮捕者が後を絶ちません。
▽カルガモ走行による不正通行の手口
カルガモ走行による不正通行は、以下のような手口で行われます。
・「一般用入口」から高速道路に入る
・走行中に、「親」になりそうな車を探す
・ETC出口でカルガモ走行して不正通行
ETCカードを挿入すると通行の記録が残るため、入口は「一般用入口」を利用します。また出口で目立たないよう、「親」の車に選ばれるのはトラックなどの大型車が多いです。
■後を絶たない逮捕者
カルガモ走行による不正通行は、2001年にETCが導入された当初からずっと存在しています。そして現在も、毎年カルガモ走行による逮捕者が出ています。
▽逮捕事例① 軽自動車で「600回以上」
2021年6月、阪神高速の料金所でカルガモ走行をしたとして設備業の男が逮捕されました。容疑者はカルガモ走行で600回以上も通行料金を逃れていました。ボディタイプは軽乗用車や軽トラックで、他の車と比べて隠れやすいサイズ感だったと考えられます。
▽逮捕事例② トラックのカルガモ通行も
カルガモ走行は、小さなクルマだけで起こる訳はありません。
2023年6月には、東名高速および首都高速でカルガモ走行を繰り返した2名の陸運業者が逮捕されました。業者はオークションで落札されたトラックを走行・運送しており、3年にわたって約850回もカルガモ走行で不正通行。逃れた通行料金は約750万円に上りました。
■高速道路会社の対策と罰金・徴収金
上記の逮捕事例を見ると、どちらもカルガモ走行の回数が非常に多いです。この数字を見ると、「カルガモ走行は簡単にできてしまう」と考える人もいるでしょう。しかし現在は高速道路会社も対策を取っており、検挙されれば多額の割増金も徴収されます。
▽高速道路会社はカメラで車両を記録
現在、高速道路会社は料金所などにカメラを設置し、車両の種類やナンバーを1台ずつ記録する等の対策を取っています。その上で、不正通行した車両があれば督促状を送付したり、警察に通報したりしています。
▽罰金に加え、多額の割増金も徴収
カルガモ走行による通行料金逃れは、道路整備特別措置法違反にあたります。罰金は最大30万円で、上記の逮捕事例から考えると高額とは言えません。
しかし罰金以外にも、不法に免れた通行料金と割増金が徴収されます。 割増金は、不法に逃れた通行料金の2倍相当の額です。つまり、罰金に加えて本来の3倍の金額を払うことになります。最大30万円の罰金も併科できるので、不正通行した回数に応じて金額が上がる可能性もあります。
前述の逮捕事例(3年にわたって約850回もカルガモ走行、逃れた通行料金は約750万円)の場合、罰金に加え、逃れた通行料金750万円+割増金1500万円=2,250万円以上の支払いが求められる見込みです。
■「うっかり不正通行」した時の対処法
不正通行の意図はなかったものの、「車間距離を詰めてETCレーンに入ってしまい、バーが降りなかった」というケースもしばしば起こります。放置すると道路整備特別措置法違反になってしまうので、必ず高速道路会社に申し出て、料金を支払いましょう。
ETC入口で前走車からバーが降りないまま通過してしまった場合は、料金所で「一般用」出口を利用し、事情を説明しましょう。その場で料金の処理をしてもらえます。 出口でカルガモ走行になってしまった場合も、慌てず安全な場所に車を停め、後から高速道路会社に連絡をしてください。
■高速走行以外でも十分に注意を
カルガモ走行は違法なだけでなく、前走車との追突リスクもある危険な運転です。また高速でのカルガモ走行に限らず、一般道でも煽り運転やながらスマホなどに十分注意して走行してください。
(まいどなニュース/norico)