「酒屋でワイン買って応援するよ」タンク破裂で1万5000リットル流出… 被災の能登ワインに励ましの声
能登半島地震で震度6強を観測し、20人が亡くなった穴水町。多くの人が避難所生活を余儀なくされる中、ワイナリー「能登ワイン」が被災状況をSNSで報告した。瓶が割れ、タンクが破裂して1万5000リットルのワインが流出したこと、事務所の天井が剥がれたこと…。今も断水状態は続き、10人いるスタッフのうち数人が避難所で過ごす現状を伝えた。そんな中、力になっているのは「レストランで能登ワイン飲んだよ、頑張って」「近くの酒屋で買って応援するよ」といった県内外から届くSNSでの励ましの声だという。
■震災後、初めて明るい気持ちになった
2006年から穴水町でワイナリーを営む能登ワイン。牡蠣殻を活用したミネラル豊富な土壌で育てたブドウを使用。08年に国産ワインコンクールで銅賞を取って以降、数々の受賞を重ねている。
地震では、家屋や電柱が倒壊したほか、土砂崩れも起きた。一時は、水や電気も使えない状態に。3日、ようやく一人のスタッフがひび割れた道路を何とか通ってワイナリーへ。売店の棚に陳列していた瓶のワインが割れ、床がワインまみれになり、熟成樽2個も割れていた。「どうやって片付けようかなっていう感じでしたね…。ショックで言葉が出ませんでした」と担当者は説明する。
救われたのが、インスタグラムなどに届いたたくさんのメッセージだ。「今日も能登ワイン1本開けちゃいました!」「楽しみに待っています」-。「震災後、初めて明るい気持ちになりました。応援してくれるお客さんがいるから、何としても応えたいと思いました」。雪の日が続くが、片付けと並行して、今年のブドウ生育のため剪定作業も始めた。
今も営業再開のめどはたっていないが、オンラインショップは稼働しているという。「道路は緊急車両優先なので、運送業者が集荷に来られず、いつ発送できるか分からない状況です。なるべく早く届くように、スタッフ全員で頑張っています」。また、商品には最新の注意は払っているが、ラベルに汚れや傷がある可能性もあるという。
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SNS上では被災地の特産品などを買って応援する動きも広がっている。能登から100キロ以上離れた石川県加賀市に住むX名・漫画家コマkomaさん(@watagashi4)もその一人。「同じ県内なのに被害が小さいことに、何とも言えない気持ちを感じています。祈ることしかできなくて…」。自分にできることを、と能登のお酒やワインなどを紹介する投稿は、大きな反響を集めている。
(まいどなニュース・山脇 未菜美)