カラスに襲われていた治療中の猫 見知らぬ土地で迷子に 優しさのリレーで命が救われた
■「誰か助けてください」
タクオくん(年齢不詳・オス)は、2023年4月、ある人の家の敷地付近にいた。その人は、SNSで「エリザベスカラーの付いた猫がいます。誰か助けてください。我が家の庭先でカラスに狙われています」と発信していた。
たまたまその投稿を見かけた福岡県在住のちまきなころんさんは、「どういうこと?」と思ったが、発信者にダイレクトメールを送れず、具体的な場所など個人情報を聞き出せずにいた。概ねちまきなころんさんの家から1時間半以上かかることは分かったという。
発信者はさらに「警察に連絡をしたが対応出来ないとのことでした」と追記した。ちまきなころんさんは、最寄りの警察署に電話をして、発信者に私の番号を伝えてくれないかとお願いした。すると、発信者から折り返し電話がかかってきたので場所の詳細を確認できたという。
「発信者の方は、猫が庭先にいるけど、車椅子なので猫に近づくことができないと言っていました。会社を早退し、カラーが付いたままでも入る特大捕獲器を持参して現場に向かいましたが、到着した時には猫の姿は見当たらず、捕獲器を仕掛けて探し回ること1時間弱。やっと猫が捕獲器に入りました。ただ、特大捕獲器は大きな生き物用なので踏み板を踏んでも猫が軽すぎて扉が閉まりませんでした。どうしようか迷い続ける間に仕掛けたご飯がどんどんなくなっていくため、意を決して背後から近づき、踏み板を指で押して閉めました。逃がしてしまうか捕獲成功するか紙一重でした」
■引越し当日に逃げた猫
タクオくんはカラーをしていた。誰かが病院に連れて行ったはずだ。連携してくれていたフォロワーが動物病院をいくつか当たってくれて、ようやく該当の方を探し当て、病院から連絡をしてもらった。
「連絡をくださるかどうか賭けでしたが連絡してくださり、ようやく経緯が確認できました。その方は、かつて住んでいた場所にたまたま来た猫に数日間ご飯をあげたそうです。目の調子が悪いことに気付き動物病院に連れて行ったものの、自宅に連れ帰ったときに逃がしてしまったそうです。しかも運悪く、引越し当日に」
タクオくんは見知らぬ土地で迷子になり、どこにいるのか全くわからない状態でさまよい続け、エリザベスカラーを装着しているため、満足にご飯も食べられるず、発信者の敷地内にたどり着いたようだった。
片目の視力を失ったタクオくん。今は、ちまきなころんさんの家で幸せにしているという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)