ペットを連れて避難所に入れない!寒い中、車中泊でしのぐ人も… 能登半島地震の被災者が語るリアルな問題とは
■被災したらペットは一緒に避難できないのか
能登半島地震の被災地で問題になっているのが、ペットを連れて避難所に避難することができないということだ。被災した家では暮らせない、しかし車中泊も難しい場合、ペットを飼っている人はどうしたらいいのだろう。
じゅげむさん(@jugem0505)は大阪から石川県に移住し、2匹の猫と暮らしていたが、1月1日に被災。家の中には割れた食器やガラス片、家具が散乱し、スニーカーを履かないと危なくて歩くことができなかった。家も外壁にヒビが入っている状態で、震度4~5の余震がある中、室内では暮らせない。猫と一緒に避難できないか近隣の避難所をいくつか当たってみたが、全て断られたという。
じゅげむさんに話を聞いた。
ーー被災直後は車中泊されたのですか。
「家の中は割れた食器や倒れた家具で足の踏み場もないような状態でした。私は『こむぎ』という茶白の猫と、『おこめ』というハチワレ猫を飼っているのですが、こむぎが行方不明に。1日目はおこめだけを連れて車中泊しました。翌日、家の中でこむぎの名前を呼んでいたら、後ろに立っていたのですが、恐怖で尻尾の毛がボワボワになっていて、茫然としていました」
ーー避難所には入れなかったのでしょうか。
「志賀町、七尾市はほぼダメでした。集落ごと孤立していて個人が集まっている所は猫がいるのを見ましたが、大人数がいる避難所に猫を連れて行くのは不可能だと思います。市や町が拒否しているというより、どちらかというと避難している人たちがペットの受け入れを拒んでいるようです」
ーー猫は今、大阪のご実家に?
「そうです。地震が起きた時に2匹を連れて玄関まで逃げることも困難ですし、車中泊を続けることはできないので、大阪の実家に避難させています。でも、4年間彼らと一緒に暮らしてきたので、余震がある中、一人で暮らすのは不安ですし寂しいです」
ーー大阪に行って猫たちの体調は回復しましたか。
「はい。実家では猫じゃらしで遊んでいますし、ゆっくり眠れるので大丈夫です」
じゅげむさんによると、ペットを飼っている人の中には、寒い中でも車中泊で耐え忍んだり、壊れかけた家で暮らしたりしている人もいるという。日本の場合、環境省は災害時のガイドラインにおいて、ペットを連れて避難する「同行避難」を推奨しているが、避難所内に入れることまでは想定していない。
アレルギーの人がいるなど問題もあるが、人間の子どもの数よりペットの数が上回っている。環境省は、避難所の中に飼い主とペットが一緒に入れる「同伴避難」について法整備の検討を急ぐべきではないだろうか。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)