「誰か助けて!」マンホールの下から不安げな鳴き声 黒猫6きょうだいを保護 残されたのは人馴れ苦手コンビ
長野県松本市に興味深い猫の保護・譲渡活動をする団体があります。LOVE & Co.(以下、ラブコ)で、こちらでは行き場を失った猫の保護・譲渡活動はもちろん、オリジナルグッズの企画、制作、販売、ワークショップ開催などを行い、これらの売り上げを活動費用やシェルターの運営費に充てています。
ラブコではこれらのモデルを「保護猫がはたらく会社」と名乗り、これまでに多くの猫を幸せへと繋いできました。
■マンホールの下から聞こえてきた子猫の鳴き声
これまで多くのラブコグッズに描かれたピーナッツという名のメスの猫がいます。推定10歳ほどで出っ歯のような白い模様がチャームポイント。ピーナッツはラブコが設立される以前の2013年に団体の代表に保護されて以来、ラブコのおしゃれ番長としてオフィスで勤務しています。
代表がピーナッツと出会ったのは、今からちょうど10年前の2013年11月。当時住んでいたマンション近くのお寺でした。
お寺の敷地内を歩いていたところ、どこからかか細い鳴き声が聞こえました。周囲を見渡しても姿が見当たりません。「確かに鳴き声がするんだけど」と首をかしげたそうですが、その鳴き声は地面の下から聞こえていたのです。
足元にはマンホール。蓋をこじ開けようにも女性の力ではびくともしません。お寺の住職さんに許可を得て消防局に猫のレスキューを依頼しましたが、「危険があるため人命救助を伴わない救助は難しい」と断られてしまいました。
■代表自らマンホールの中に入り保護
当然もどかしく思う代表でしたが、ここで諦めるわけにもいきません。代表は自身が住むマンションの管理人さんに助けを請い、自分たちでマンホールの蓋を開けました。
マンホールの中に代表が入り、なんとか一匹の子猫を救出。「お寺の近くにこの子の家族がいるかもしれない」とお寺の周辺を探したところ、救出した子猫のきょうだいと思われる子猫たちが次々に現れました。その数6匹。かわいい子猫ばかりでした。
このまま暮らしていれば、またマンホールに落ちてしまうかもしれないと、6匹の子猫を代表が自宅で保護することに。このうちの1匹がピーナッツでした。
■2匹だけが人馴れせず、2匹だけの世界で生きる
子猫たちは新しい里親さんが見つかりましたが、人馴れせず他の猫ともなかなかなじむことができないピーナッツとキョロだけが取り残されてしまいました。この2匹は先住猫がいる代表宅ではなく、後に設立したラブコのオフィスで暮らすことになりました。「保護猫がはたらく会社」なので、ピーナッツもキョロもモデルとして活躍。これまでに数多くのグッズになって会社に貢献してきました。
ピーナッツとキョロは、人馴れせず他の猫との協調性も乏しいのですが、2匹はいつも仲良く過ごしています。
他の猫がいると威嚇したりマーキングすることがあるピーナッツですが、仲良しのキョロとならいつも仲良く楽しそう。そのため、ラブコではピーナッツとキョロの「キョロピー姉妹」を迎え入れてくれることを条件に、里親募集をスタートさせました。
人馴れしていないのでなでたりくっついたりすることはできません。他の猫が苦手なので、先住猫がいる家庭も難しいでしょう。しかし、「自立している猫」として互いにリスペクトし、共に暮らしてくれる人なら楽しいパートナーになってくれるように思います。個性的でルックスもとびきりかわいいピーナッツとキョロを「我が家に迎え入れたい」という方はぜひラブコに問い合わせをしてみてください。
(まいどなニュース特約・松田 義人)