捨てられた?スワンボート近くにいた猫 「夜鳴きがうるさい」と飼育放棄された 「絶対に幸せにしてあげる」家族と出会った

約6年前、箱根に観光で訪れていた日本在住の外国人カップルがいました。そのカップルは河口湖でスワンボートに乗ろうとしましたが、その近くで1匹の猫を見つけました。長毛がゴージャズな印象を持つオスの猫です。

迷い込んだのか、人間が意図的に棄てたのか、事情はわかりませんが、このままボートに紛れ込んで万が一湖に落ちたりしたら大変です。この外国人は、この猫をそのまま引き取ることにし、しばらくの間、飼うことにしました。

■保護した外国人の家で「犬のように飼われていた」

その猫の名はスワニー。スワンボートの中にいたことで、こんな名前をつけてもらいました。この外国人は本来は「犬好き」だったようで、スワニーにハーネスをつけ犬のように散歩したり、旅行先に一緒に連れていったりと当初は愛情をたっぷり注いでいました。また、後にこの外国人が途中で犬を飼い始め、犬と同居するようにもなりました。

後にわかったスワニーの好奇心旺盛な性格から想像するに、おそらくはこの犬とも仲良く過ごし、飼い主のライフスタイルに順応しようとがんばって生活していたのではないかと思われます。

■「夜鳴きがうるさいから」と飼育放棄

しかし、そんなスワニーに転機が訪れます。

ザックリとした飼い方ではあるものの大切にされていたスワニーですが、「夜鳴きがうるさい」という理由で途中からは外飼いとなり、後に飼育放棄されてしまいました。その際のスワニーは、綺麗な長毛も一部がバリカンで刈られていました。医療ケアも適切には施されていなかったようで、歯周病のせいか歯は1本しか残っていない状況でした。

想像ですが、スワニーの「夜鳴き」は、歯が痛くて「助けてほしい」と訴えていた可能性もあるかもしれません。また「もっと甘えさせて」と愛情を求めていたのかもしれません。

■2度棄てられた可能性もある

ボロボロの状態で放り出されたスワニーは当初、とある動物病院が一時的に預かっていました。その病院と懇意の保護猫のお世話をする団体・LOVE & Co(以下、ラブコ)がスワニーをそのまま保護することにし、少しずつ本来の明るさと元気を取り戻していきました。

当初のスワンボートの中にいた理由が、もし人間に棄てられたのだとすれば、2度も棄てられたということになります。それを思うと胸が苦しくなりますが、「だからこそ以降の猫生では絶対に幸せにしてあげたい」と、ラブコのスタッフは胸に強い想いを抱きました。そして、愛情をたっぷり注ぎしばらくの間、お世話をし続けました。

■里親さんの家の先住猫とも溶け込み、幸せをゲット!

スワニーのエピソード、性格、持病などはラブコの公式サイトで公開されて、やがて「迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。先住猫がいる家の方です。

それまでのスワニーは犬と一緒に過ごしたことはあっても、他の猫とのコミュニケーションは少々苦手。でも、里親希望者さんの家の猫とは波長が合い、幸せをつかむことができました。

この家でスワニーは新たに「さしみ」という名前をもらいました。理由は、先住猫2匹の名前の頭文字を続けて読むと、さしみになるから、とのこと。このように、3匹一緒に愛情をたっぷり注いでくれる里親さんと出会い、本当に良かったです。いつまでも元気いっぱい、明るく過ごしてほしいと心から願うラブコのスタッフでした。

LOVE & Co

https://love-and-co.net/

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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