運転中の「ながらスマホ」 禁止されているのはなぜ? 死亡事故率2倍の衝撃データ

クルマの運転中にスマートフォンを使用することよる交通事故が大きな問題となっています。2019年12月に改正された道路交通法では、運転中にスマホを使うことに対する罰則が厳しくなりました。その背景には「携帯電話等の使用中の事故」が毎年2500件以上起こっていることや、死亡事故率が高くなるといった深刻な状況があります。

■禁止されている「ながら」行為

現在の道路交通法では、運転中のスマートフォンなどの利用について以下のように禁止しています。

   ◇   ◇

【道路交通法 第71条5の5】

自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。)を通話のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。

   ◇   ◇

 そのため具体的には、以下のような行為は道路交通法違反となります。

・走行中にスマホを含む携帯電話、車内電話、トランシーバーを手に持ち通話すること

・走行中にカーナビや携帯電話、パソコンやゲーム機の画像を見つめること

「注視(見つめること)」の定義については明確にはされていません。しかし「2秒」が一つの目安とされています。

▽禁止されていない行為

法律に書かれていない行為は禁止されていないため、現段階では以下の行為については道路交通法違反とはされていません。

・クルマが止まっている時に、スマホやカーナビを見つめたり操作したりすること

・クルマが止まっている時に、スマホ等で通話すること

・ハンズフリー機能やイヤホンを使い、受話器を持たずに通話すること

▽さらに厳しい条例がある自治体も

ただし、一部の自治体では独自に更に厳しいルールを設けていることがあるので注意が必要です。たとえば東京都は以下のような条例を設定しています。

   ◇   ◇

【東京都道路交通規則第8条5項】

高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと。

   ◇   ◇

この場合、ハンズフリーでの通話は問題がありませんが、イヤホンやヘッドフォンを使い、周りの音が聞こえないような状態で通話していると条例違反となります。

似たような条例は多くの自治体で設定されていますので、注意しましょう。

■運転中のスマホの危険性

度重なる事故を受け、2019年12月の道路交通法改正で、運転中のスマホ利用が厳罰化されました。実際、運転中にスマホを利用することで以下のような危険が指摘されています。

・全国で年間約600万件の取り締りの80万件以上が運転中の携帯電話等使用

・近年は携帯電話等の使用中の事故が毎年2500件以上起こっている

・そのうち数十件は死亡事故になっている

・携帯電話等を使用している場合の死亡事故率は約2倍

▽実車試験の対象選定にもなる「ながら運転」違反

2022年5月から導入を予定している「運転技能検査」。75歳以上のドライバーが免許を更新する際に、過去3年間のうちで11類型の違反のうち1つでも違反をした場合に実車試験が義務付けられます。

11類型の違反項目のうちの1つに、携帯電話などを使用した「ながら運転」があります。違反対象の11類型はのちの事故を起こす危険性が高い項目があげられています。

そのため、「高齢ドライバー向けの制度なのか」という認識ではなく、「ながれ運転」の危険性を十分認識したうえで運転をするようにしましょう。

■「高速道路で時速40km以上の速度超過」と同程度の危険性も

運転中の「ながらスマホ」は、程度により以下の2種類の違反に分かれています。

・携帯電話使用等(保持)…走行中の通話や画面の注視など禁止されている行為を行う

・携帯電話使用等(運転の危険)…禁止行為によって交通の危険を生じさせる

▽保持だけでも懲役や罰金の可能性

たとえ何の事故を起こさなくても、運転中にスマホ等を利用しているだけで以下のようなペナルティが科されます。

【罰則】6月以下の懲役又は10万円以下の罰金

【反則金】大型車:25000円/普通車:18000円

【違反点数】3点(酒気帯び15点)

▽運転の危険性があれば更に重い

また交通の危険を生じさせた場合は、以下のように更に思いペナルティが科されます。実際の事故にならなくても、危険を生じさせるだけでこちらが適用される場合があります。

【罰則】1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

【反則金】適用なし(※裁判で罰則決定)

【違反点数】6点(酒気帯び16点)

▽違反点数6点の意味

中でも考えるべきは、「運転の危険」が適用された時の6点の違反点数です。同じように6点の違反点数が科される交通違反としては、以下のようなものがあります。

・無車検運行

・無保険運行

・一般道で時速30km以上の速度超過

・高速道路で時速40km以上の速度超過

違反点数が6点となっているということは、「時速制限が80キロの高速道路を、40キロオーバーの時速120キロで走行するのと同じくらい危険なのだ」という意味と捉えるべきでしょう。

6点累積で免停の対象にもなりますので、どうしてもスマホを使いたい時には、一度停止した上で利用するようにしてください。

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【監修】中古車のガリバーが運営・クルマのギモンにこたえるサイト「norico」編集長・村田創

中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!

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(まいどなニュース/norico)

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