ある塾講師の苦言「勉強できない子達が行き着く塾はキャバクラのような塾」 学力に合わせた学びのあり方に意見続々
少子化と反比例して、むしろ規模を拡大しつつある学習塾業界。
今、SNS上ではそんな塾業界の中で、学習力の低い生徒に合わせ、まるでぬるま湯状態の教室が生まれているという告発が大きな注目を集めている。
「今の時代、勉強できない子達が行き着く塾はキャバクラのような塾なんだよな。彼らの言う分かりやすい先生ってのは、絶対に叱ったり注意しない、いつもニコニコしてる優しいお兄さんやお姉さん。ちょっとでも厳しい先生だったら『あの先生は分かりにくい』って言えば先生変えてもらえるしね。」
と指摘するのは塾講師の愚痴講師さん(@TYPFNJvx94LvMko)
「キャバクラ」とは手厳しいが、子供が機嫌を損なわないよう塾側がおもねるスタイルは、たしかにそれと酷似しているのだろう。
今回の投稿に対し、SNSユーザー達からは
「塾側としてもそれが正解なんでしょうね 当たり前のキチンとした指導したとてどうせやらない、なら辞めず通塾して貰えば月謝払い続けて貰えるし、評判も落ちず紹介に繋がる ビジネス観点で考えるとそっちが正解 教育観点では間違いですけど、塾も稼がないといけませんからね」
勉強はハングリー精神が必要だと思います。あと、打たれ強い子が有利に受験進むと思ってしまいます。勉強もスポーツと似てる部分があると思います」
「昔は塾って『それなりのレベル』を目指している人しか行ってなかったけど、ここ10年くらいでかなりレベルの低い(偏差値40とか)も行くようになった感じがある。「友だちが行ってるから」「友だちとダベるのが楽しいから」みたいな感覚て行っている生徒が多いというか。」
「いえ、今の時代じゃなく、そもそも個別指導塾はキャバクラモデルで収益を得るためのスキームですよ。知ってるだけで90年代あたりから。指名制とか端的ですが、ものすごく良くできたビジネスモデルです。」
など数々の驚きの声、共感の声が寄せられている。
■投稿した塾講師さんに聞いた
愚痴講師さんにお話を聞いた。
ーーこういった塾の存在意義、そこで学ぶことの意味についてどんな考えを。
愚痴講師:子供たちが楽しく通えて塾への嫌悪感を無くす事だと思います。塾が楽しいって言ってもらえると安心できる親は多いです。そういった塾で学ぶ事で怒られないから安心して勉強できて伸びる子も多少はいると思いますが、基本的には学校の成績やテストの順位は、良くても現状維持になると思います。なので学力を上げる効果は薄いですが、子供達がこれ以上勉強嫌いにならないといった効果はあると思います。
ーー勉強ができない子達に向け、社会はどういった対策を講じるべきですか?
愚痴講師:本来であればじっくりゆっくりと子供達のペースに合わせて勉強する事が理想ですが、今の義務教育ではそれは難しいと思います。個人的な意見ですが、本当に勉強ができない子は検査を受け、支援級に行く必要があるなら行くべきだと思います。厳しい意見かもしれませんが、勉強ができない子達…いわゆる境界知能の子達に無理に勉強させても正直意ほとんど意味はないです。それよりも将来一人で生きていくために必要な知識を学生の間に身につけさせる方が大事だと思います。
ーーぬるま湯的な“キャバクラ塾”の見分け方は?
愚痴講師:塾そのものがキャバクラ塾である塾はほとんどないです。保護者や勉強できない子からの「厳しくせずに指導して欲しい」という要望を聞いてると、その子の授業の時だけキャバクラ塾になるということです。なので大抵の大手チェーンの個別指導塾にお願いすれば、生徒の学習力に合わせてキャバクラ塾的な指導をしてくれると思います。
ーー投稿が反響を呼びました。
愚痴講師:他の塾の先生たちの意見が聞けて良かったです。やはりそういう指導をせざるを得ない子がうちだけではなく、どの塾にも一定数いる事が分かりました。
◇ ◇
ぬるま湯的な塾が社会の需要により生まれているというのは悲しいかな現実のようだ。子供たちがどのような学びの環境を持つべきか、再考すべきタイミングに来ているということだろうか。
なお、今回の話題を提供してくれた愚痴講師さんは、ブログ「愚痴講師の意見」で小学生から大学受験生まで、さまざまな年代、習熟度の子供達に合わせた問題集や参考書を紹介している。ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)