俳優尚玄に待望の第一子 フィリピン映画界の名匠の言葉の意味を知る 「とにかく早く家に帰りたい」

「いまだかつてない深い感情が、心の底からブワッとくる」

そう言って目じりを下げるのは、俳優の尚玄(45)。2023年11月に第一子を授かったばかり。新米パパになり身を持って理解したフィリピン映画界の名匠からの言葉がある。

■忘年会ほとんど行かず

待望の第一子との日々。「とにかく早く家に帰りたいという思いが強くなって、昨年末の忘年会はほとんど行っていません」と照れ笑い。「僕は海外作品への出演が多く出張もあるので、せめて日本にいる時は極力家族と一緒に過ごしていたい。いつか我が子をという気持ちはずっとあったので、それがやっと叶ったという状況です。寝不足は続いていますが、とっても可愛いです」と言葉の端々から満ち足りた思いを溢れさせる。

小さな命に日々接することで、次世代への思いも強くなった。

「ものの見方はガラッと変わりました。ニュース一つにしても今までと捉え方が違う。これまでは自分の人生を物差しに未来を考えていたけれど、子どもが生まれてからは自分の人生のその先、次世代のことまで見据えて動くことが多くなりました」

■父親役への期待大

2022年11月に地元・沖縄で開催された「Cinema at Sea-沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」のアンバサダーを務めた理由もその一つ。

「次世代のため、そして地元・沖縄への貢献ができると思って携わらせてもらいました。故郷での新しい映画祭の立ち上げと子供の誕生。その2つの大きな夢が同じタイミングで叶ったことは感慨深いです」と嬉しそうだ。

『赦し』『彼方の閃光』など、これまでも父親役を演じることは多かった。「実は今年最初に撮影する作品の役柄も父親です。今までは想像で演じていた父親役が今後はまったく違ったアプローチで実感を持って演じることが出来るのではないかと。自分の中でどんな変化が生まれるのか、演じるのが楽しみ」と期待している。

■胸の上で眠る我が子

尚玄パパが子供との日々の中で最も感動するのは「僕の胸の上で子供が寝ていて、呼吸と鼓動が一致する瞬間」で「いまだかつてない深い感情が、心の底からブワッとくる」そうだ。独身時代に主演した『義足のボクサー GENSAN PUNCH』(2019年)のブリランテ・メンドーサ監督が言っていたことが、今ようやくわかった。

「撮影中にメンドーサ監督が『自分の人生最大の感動は、生まれたばかりの娘が自分の胸の上で寝ていたときだ』と言っていたのですが、それを今になって『監督が言っていたのはこのことか!』と身を持って感じています。もう自分一人の体ではないのだと思ったりして。幸せと責任を感じています」とすっかり父親の表情だ。

■全編英語の主演作が公開

1月27日にリム・カーワイ監督によるバルカン半島3部作の完結編『すべて、至るところにある』が公開。尚玄は忽然と姿を消す映画監督のジェイを熱演している。

「今作の舞台はコロナ禍のバルカン半島。美しい自然と旧ユーゴ時代の遺産。そして未だ街角や人々の心に残る戦争の傷跡。僕らのひと夏の旅がエストニア、そして日本の観客の皆さまにどのように感じてもらえるのか楽しみです」とコメントを寄せている。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)

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