クセ強め気性荒めの保護猫姉妹に幸せジンクス かかわった他の猫に里親が見つかる不思議
行き場を失った猫の保護・譲渡活動に加え、オリジナルグッズの企画、制作、販売、ワークショップ開催などを行う団体、LOVE & Co.(以下、ラブコ)。団体設立前、ラブコの代表がマンホールに落ちた子猫を救うべく奮闘し、結果的に6匹の猫を保護しました。このエピソードはテレビでも取り上げられ話題になりましたが、このときに保護した6匹のうちの1匹が、キョロ。現在も里親さんとのマッチングを待っています。
■人間も他の猫もダメ。2匹のみで自立する「キョロピー」姉妹
保護当初のキョロは、その命を救った代表の自宅で暮らしていましたが、ラブコが設立された2016年にラブコのオフィスに移動。なかなか人馴れしてくれなかったため、「一般家庭でのんびり過ごしてもらうほうが人馴れがすすむだろう」と、預かりボランティアさんの家で世話してもらうことになりました。
マンホールで保護した6匹の猫たちは、1匹、また1匹と里親希望者さんが現れましたが、このキョロと、姉妹猫のピーナッツだけはいまだ里親希望者さんとのマッチングが果たしていません。その大きな理由はやっぱり人馴れが難しいところ。特にキョロは「威嚇の女王」の異名を持つほど、人間に対して攻撃的で、なかなか心を開きません。
野良猫出身であり、生まれ持っての性格もあり、こればかりは仕方のないことですが、姉妹猫のピーナッツとはベタベタの仲良しで、まるでニコイチかのようにいつも一緒に楽しそうに過ごしています。そんな2匹をラブコ代表は「キョロピー」と呼び世話を続けていました。
■預かりボラさんの家では丸くなった姉妹
しばらくして「キョロとピーナッツを一緒に預かります」という預かり希望者さんが現れました。正式な里親希望者さんではなく、その里親さんが見つかるまでの間、お世話をしてくれるというのです。
その預かり希望者さんは猫を飼うのが初めて。初心者になかなか心を開かないキョロ、そしてピーナッツを預けて大丈夫だろうかと、ラブコ代表は一松の不安を抱きました。しかし、初心者だからこそ、このハードル高めのキョロとピーナッツでも根気を持って面倒を見てくれるかもしれない、と預けることにしました。
預かり希望者さんは根気強く優しい方で、その思いが通じたのか、「威嚇の女王」キョロもすっかり丸くなり、姉妹のピーナッツも落ち着き、2匹はしばしゴキゲンな生活をおくっていました。
■不思議なジンクスも生まれるほど、他の猫には威嚇&攻撃
キョロとピーナッツはこの優しい方の家に2年ほど生活。その後、その家庭の事情でラブコのオフィスに戻ってきました。
ラブコの代表は「2年も面倒を見てくれたことが本当にありがたい」と思う一方、過去のキョロとピーナッツの行動から、他の猫とのコミュニケーションが難しいことも知っていました。すでに多くの保護猫が暮らすラブコのオフィスに、キョロとピーナッツが戻ってきて大丈夫だろうかと不安を抱いました。
予感は的中。他の保護猫がたくさんいる環境に戻されたキョロとピーナッツは、日々大暴れ。そこら中にマーキングをするようになってしまいました。また、他の保護猫が「遊ぼうよ」とキョロとピーナッツを誘ってにらみつけるばかりで、保護猫が後ずさりするほど。いじめられる保護猫も相次ぎました。
偶然ですが、いじめられた保護猫に続々と里親希望者さんが現れたことがあり、「ピーナッツにいじめられると、家族が決まる」という奇妙なジンクスまで語られるようになったほどです。
■「猫と人間がリスペクトし合える関係が理想」
問題はありますが、保護当初のストーリーや2匹のかわいさから、ラブコファンの間でも人気があるキョロとピーナッツ。2匹とも推定年齢10歳ほどで、いずれも避妊手術済み。これまでに数々の病気を患うことがありましたが、その都度の治療を終えて、必要な医療ケアは全て終了しています。
すでにシニアの域に達したキョロとピーナッツですが、最近は20歳くらいまで長生きする猫もたくさんいますし、まだまだこの2匹の猫生は長いことでしょう。キョロもピーナッツも独特の性格なので、「猫とデレデレに触れ合いたい」という人には向いていないですし、おそらく先住猫がいる家庭も難しそうです。
ただし、ラブコの代表はこうも言います。
「キョロもピーナッツも自立している猫。猫と人間が互いにリスペクトして、共に生きるという感じで、迎え入れてくれる方がいたら一番良いと思います」
「共に生きる」と接すれば、キョロもピーナッツも独特の魅力がある楽しい姉妹です。こんなキョロとピーナッツに、いつか「ずっとのお家」が見つかることを願うばかりです。
LOVE & Co.
https://love-and-co.net/
(まいどなニュース特約・松田 義人)