【漫画】平安時代の「34歳シングルマザーが同人誌書いてたらスカウトされた話」大河でも話題の紫式部の漫画「新鮮で面白い」

「34歳シングルマザーが同人誌書いてたらスカウトされた話」

漫画家のD・キッサンさん(@d_kissan)が、独自の切り口で紫式部を題材にした漫画を描きました。

宮廷にて女房を務めながら『源氏物語』を書き上げた女流作家として知られる紫式部。2024年1月7日よりNHKの大河ドラマ『光る君へ』の放送も始まりましたね。

■紫式部の正体は、ちょっとイタいオタクの同人作家!?

平安時代といえば、宮廷貴族たちの優雅な暮らしを想像しがち。ところが、D・キッサンさんの漫画『神作家・紫式部のありえない日々』ではちょっと様相が異なり、主人公・紫式部はなんと「こじらせ系の30代同人作家」として描かれています。

夫を亡くし、娘を育てながら『源氏物語』という同人誌(←!)を制作していたインドア系シングルマザーの藤原香子(後の紫式部)。

突然の宮仕えの命に困惑し、家族の前で「宮中なんて行きたくない、働きたくない」と駄々をこねたり、宮中では褒められて喜んでいた矢先に出鼻を挫かれ、すぐに自宅に帰って5ヶ月引きこもったりと、初っ端からこじらせ感全開です。

その姿は、完全にいまの世のオタクそのもの。そんな藤原香子ですが、やがて“藤式部”という名前を授かり、宮中に住み込みで働きながら、人気同人作家として執筆活動にもいっそう励んでいきます。

そんな主人公もさることながら、時の権力者・藤原道長、その娘で中宮の彰子、帝(一条天皇)などの歴史上の人物も多数登場、かつ魅力的なキャラクターとして描かれます。

紫式部を同人作家、『源氏物語』を同人誌と位置づけるなど、斬新な切り口で描かれる本作。作者であるD・キッサンさんのX(旧Twitter)のアカウントにも、評価する声が多数届いています。

「すげぇ(笑)新しい切り口かもしんね(笑)」

「はじまり方から新鮮で面白い」

「テンポがよくて読みやすく、気がついたら買っちゃいましたw」

「歴史好きな母が私に『「源氏物語」は同人誌!いいか!!同人誌は大昔からあるんだぞ歴史なめんなよ!!!平家物語なんかアニメ化だぞ!!日本の歴史と文化ヤベェよ!!!』ってよく言っているのがよくわかりました!」

■「紫式部」という女性を身近に感じてほしい

独特な視点をもって描かれる紫式部の物語。このような描き方をされた経緯について、作者のD・キッサンさんにおうかがいしました。

「以前にも平安時代が舞台の漫画を描いたことがあったのですが、また平安時代の漫画が描きたいなと思っていて、平安時代がモチーフの作品や学術書はチェックしていました」

ここで、「『源氏物語』のメディア化作品は多いけれど、作者自身をフォーカスしたものは少ないな」と思ったD・キッサンさん。実際に紫式部の人生について調べてみて、面白いと感じたことが、漫画制作のきっかけになったといいます。次に、主人公のキャラ設定についてはこのように語ります。

「紫式部の書いた『紫式部日記』を読むと、人間関係の煩わしさや女性の生きづらさ、人生はしんどい的な文章も目立ちます。それで、キャラを際立たせるため引っ込み思案的な属性を付与しました」

また、当時の『源氏物語』は女性や子供が気軽に楽しむサブカル的な読み物だったらしく、そのような風潮を、“同人作家”や“同人誌”などの現代的な言葉で表現したといいます。さらに、『源氏物語』の作者側だけではなく、読者側も現代の人たちと同じような楽しみ方をしていたという想定で、周囲の人物たちもちょっとクセのあるオタクっぽい性格にしたとのこと。

「紫式部という女性をもっと身近に感じてほしい」

そんなD・キッサンさんの思いから、独自の着眼点・切り口をもって描かれる本作。しかし、それと同時にもともと平安時代や歴史上の人物が好きな人にも楽しんでもらうため、「なるべく史実は取り入れた上でアレンジを施すよう努めている」ともいいます。

「例えば実際、紫式部は女房としては優遇されていて実家に度々帰ることも許されていたようですが(『源氏物語』執筆のため?らしいです)私は紫式部の娘・賢子の成長も描きたかったので、漫画では『賢子が心配だから』という理由で頻繁に実家に帰らせることにしました」(D・キッサンさん)

たくさんの人に楽しんでもらいたい--そのような思いからさまざまな趣向を凝らしつつ漫画を制作されているD・キッサンさん。作品の根底にあるテーマについても語ってくれました。

「『女性が楽しく歳をとって生きていく』のをこの作品で描写したいというのが私のもう一つの狙いでもあります。その部分でも注目していただければと思います」

  ◇  ◇

大河ドラマ『光る君へ』も楽しく観ているというD・キッサンさん。

「装束や人々の日常生活の描写・史実がどうアレンジされるのか、とてもワクワクしております。紫式部と藤原道長がソウルメイトという設定なので、その部分もどう進展するのか楽しみです」と、ドラマのこれからの展開に大きな期待も抱かれています。

また、ご自身の漫画作品『神作家・紫式部のありえない日々』は、一迅社の「月刊コミックZERO-SUM」にて連載中。コミックスも2月29日に第4巻が発売予定です。

「主な展開は史実に沿っていきながら、キャラクター同士のやり取りや私の妄想を、話が面白くなるように取り入れていきたいと思っています。連載では帝と彰子さまの仲が進展していっているところです(取材時点)。紫式部と同じように推しカプを見守るような気持ちで読んでいただけると嬉しいです」(D・キッサンさん)

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・竹中 友一(RinToris))

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