やつらは訪日客のスーツケースに忍び込んでやってきた 2人に1人が「トコジラミの被害や症状を知らない」 個人でもできる対策を急げ
昨今、話題となっている「トコジラミ」による被害。通常の害虫であるゴキブリやダニとは異なり、トコジラミはその特異な特性により、その存在が危険視されています。8thCAL株式会社(東京都中央区)が、全国の10~70代の男女487人を対象に「トコジラミの被害」に関する実態調査を実施したところ、トコジラミによる被害について、約半数が「よく知らない」と回答しました。また、ホテルなどの宿泊施設に泊まる際のトコジラミ対策については、約4割が「対策方法がわからない」と回答したそうです。
調査は2023年12月にインターネットで実施されました。
調査によると、「トコジラミの認知度」は87.9%。一方、「トコジラミの被害」については、「被害にあったことがある」と答えた人はわずか3.5%にとどまりました。
トコジラミが急増した背景について同社は、「交通網の発達により海外への旅行者が増えたこと、また海外から日本へ旅行に来る観光客が増えたことが一つの要因と考えられます。海外からの帰国者や訪日観光客のスーツケースや手荷物、衣類などに付着したままトコジラミが国内に持ち込まれてしまい、それが日本で繁殖してしまっているのです」と分析。
さらに、「トコジラミは成虫で5~8mmと非常に小さく、扁平な体を持つ虫で、細かな隙間にも入り込むことが得意です。繊維の間や書籍、特にベッド、布団、ソファ、椅子、カーペット、畳、カーテンなど、人間が頻繁に触れる場所には更に注意が必要です」とコメントしています。
また、全体の50.9%が「トコジラミがどのような症状や被害をもたらすか知らない」(ほとんど知らない34.7%・全く知らない16.2%)と回答しました。一方で、「トコジラミへの恐怖感」については、56.4%の人が「恐怖を感じる」と回答しており、実際の被害については詳しく知らない人でも、話題性やメディアの報道からトコジラミに対する危機感を持つ人々が多いことがうかがえました。
なお、トコジラミの症状について同社は、「吸血をされると赤い斑点として現れ、これに伴い強い痛みやかゆみを感じることが一般的です。多くの人は刺された際の痛みをほとんど感じませんが、かゆみや発疹により後から刺されたことに気づくことがあります」と説明。
さらに、「症状には個人差があり、中には全くかゆみを感じない人もいます。繰り返し刺されると、体内に抗体が形成され、さらに強いかゆみを引き起こすことがあります。これが原因で不眠症のような精神的な影響を受けることもあり、場合によっては発熱の症状が現れることもあります。激しいかきむしりによって皮膚に傷がつき、細菌感染による二次感染のリスクもあり、これにより皮膚が化膿することもあります。トコジラミは、単に皮膚の問題に留まらず精神的な健康にも影響を及ぼす点が特徴です」とも述べています。
次に、「ホテルなどの宿泊施設に泊まる際のトコジラミへの対策」について聞いたところ、42.7%が「対策方法がわからない」と回答。一方、「対策を行っている」と答えた人はわずか7%にとどまりました。
同社は、「トコジラミはダニと異なり、衛生的な環境であれば繁殖しないというわけではありません。トコジラミは外部から持ち込まれるだけで家の中で繁殖してしまうため、ホテルや旅館などの宿泊施設でもスーツケースに忍び込んだトコジラミが繁殖するケースが増えています。さらに最近では、殺虫剤に対する抵抗性を持つ『スーパートコジラミ』の存在も報告されており、トコジラミの問題はますます深刻化しています」とコメントしています。
また、「普段から実践できるトコジラミの対策」について、同社は以下の5つのポイントを紹介しています。
【衛生的な環境の維持】
部屋や寝具を清潔に保ち埃やゴミを取り除き、トコジラミの血糞(けっぷん)や脱皮殻等にいち早く気がつくことのできる環境を維持しましょう。
【不要な物の処分】
不要な家具や物をなるべく蓄積せずに処分することで、トコジラミが隠れる場所を減らします。
【布団やベッドの管理】
布団やベッドのシーツやカバーを定期的に取り替え、洗濯しましょう。その際に、マットレスや布団、ベッドフレームの隙間に血糞(けっぷん)や脱皮殻等がないかをチェックしましょう。また、マットレスやベッドフレームの隙間にトコジラミが隠れるのを防ぐために、専用のカバーを使用するのも望ましいです。
【旅行時の注意】
旅行から帰った際には、スーツケースや持ち物をよく確認し、トコジラミがついていないかを注意深くチェックします。宿泊施設での滞在中にはトコジラミに注意し、隙間に抜け殻やフンのシミがないか確認しましょう。
【早期発見対策・予防資材の使用】
トコジラミ早期発見のための製品やマットレスカバーを使用することで、繁殖を防ぎます。トコジラミの駆除は非常に難しいため、早期発見対策が非常に重要です。対策を実施してもトコジラミが発生してしまった場合には、無理に自力で解決しようとせず、早めに対策を講じ、専門家の助けを借りることも検討しましょう。
最後に、「ホテルなどの宿泊施設に泊まる際、部屋に出てほしくない害虫」を複数回答で答えてもらったところ、「ゴキブリ」(413人)、「ムカデ」(365人)、「トコジラミ」(331人)など、被害の少なさにも関わらずトコジラミが上位に挙げられました。
また、宿泊施設でトコジラミの被害を実際に受けた場合、94.0%の人が「その施設への印象は悪化する」と答えています。
さらに、仮に同じ条件の部屋で「トコジラミの予防対策が施された客室」がある場合、3割の人が「500~1000円の追加費用を払っても良い」とも回答していることが分かったそうです。
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調査を実施した同社は、「トコジラミは一度発生すると駆除が難しい害虫です。『駆除』よりも『棲ませない』という点に注力し、効果的な予防策の普及と早期発見が更に重要になっていくと言えるでしょう」と述べています。