「譲渡会?行くのは嫌!」人が大勢いる場所が苦手な保護猫さん 預かりボランティアの家族をガブリ&ひっかき
推定4歳の黒猫・のんちゃん。2023年1月中旬、地域猫として複数の子猫たちと一緒に保護されました。これまでに外で子どもたちを産み、育て、守ってきたのんちゃんですが、地域猫の頃は近くに心優しい餌やりさんがいて、毎日エサにありつける環境でした。餌やりさんとの絆が深まり、甘えてすり寄ってきたり、体をなでさせてくれるようにもなり、この餌やりさんは「やっぱり保護して『ずっとのお家』を探してあげたほうが良いだろう」と、千葉県我孫子市で保護活動を続ける団体、ねこ友会に相談。同会がのんちゃんが産んだ子猫たちと一緒に引き取ることとなりました。
■「家猫生活」に警戒心しかない様子だったのんちゃん
ねこ友会ではのんちゃんを引き取った後、提携する預かりボランティアさんに世話をお願いすることにしました。
初めての「家猫生活」にのんちゃんはビクビクドキドキ。外ではねこ友会スタッフにも体を触れさせてくれましたが、家では一転してガチガチに固まり動いてくれません。食べず、トイレも行けず、さらには昼夜問わず「ここから出して!」と鳴き続け、これが2週間続きました。「保護することが本当に良いことだったのか」とスタッフは悩むほどだったそうです。
そんなのんちゃんは少しずつ環境に馴れ、食事やトイレも問題なくできるように。遊ぶのも大好きで、オモチャ相手に楽しそうに格闘する姿もありました。他の猫たちとのコミュニケーションも取れるようになり、体のどこを触っても怒らなくなったことから、ねこ友会では、のんちゃんを「人馴れ練習中」としながらも譲渡会に参加させることにしました。
■譲渡会に連れていくための、のんちゃん捕獲作戦
しかし、この譲渡会が大変です。のんちゃんは人が多くいるところをとにかく嫌い、会場では「帰りたい!」と鳴き続けていました。
譲渡会に出る日は、部屋の中でケージに入れられることを、のんちゃんは覚えています。そして、その後、あの大勢の人がいる譲渡会に行くことも。最初の複数回の譲渡会のたびに、預かりボランティアさんと格闘。当初はのんちゃんが大好きなオモチャを使っておびき寄せましたが、これも学習してダメになり、今度は洗濯ネットを用意し、のんちゃんがくつろいでいるところをこっそり被せて確保するなどしていました。
しかし、4回目ともなると、「譲渡会に行きそうな空気」を察知するようになり、預かりボランティアさんの姿を見て家中のあちこちを逃げ回るようになりました。最後の最後で、洗濯ネットで確保することができましたが、なんとのんちゃん、洗濯ネットの中で大暴れ。最後には、預かりボランティアさんの旦那さんの人差し指をガブッと噛み付いてしまいました。
■「噛まれ馴れ」している旦那さんでももだえるほどの痛み
激痛にもだえ苦しむ預かりボランティアさんの旦那さんは受診。左手人差し指の第二関節のあたりにのんちゃんの牙のあとをみられる傷と、あちこちにひっかけき傷もありました。多くの保護犬、保護猫を世話してきた関係で、旦那さんも「噛まれ馴れ」していたそうですが、のんちゃんの噛みつきはかなり強烈だったようです。
この件は、ねこ友会で「のんちゃんカプリコ事件」と呼ばれ、ある種の教訓にもなりました。もちろん、旦那さんに噛み付いたのは何ものんちゃんが悪いわけではありません。預かりボランティアさんは「日頃から抱っこの練習をもっとしておけば良かった」と反省し、今では短い時間でも自分の膝にのんちゃんを持ち喘げて乗せるといった練習をするようになりました。
■1日も早く譲渡会に行かなくて良くなるように
確かにのんちゃんは譲渡会が苦手ですが、これまで子猫を産み育て、守ってきた黒猫です。なんとかして幸せな第二の猫生を歩んでもらうべく、今後も譲渡会に参加させることになるでしょう。「譲渡会嫌い」なのんちゃんが、もう会に行かなくても済むような優しい里親希望者さんとのマッチングを1日も早く望むねこ友会のスタッフでした。
ねこ友会
https://nekotomokai.amebaownd.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)