能登半島地震 被災した飼い主たち 認められない同伴避難 避難所の玄関で過ごし車中泊を強いられる人も
石川・能登半島地震に伴い、被害状況や復旧情報が報じられますが、生活の再建に向けた動きの中でどうしても後回しにされがちなのがペットです。被災地には多くの犬猫が暮らしていたわけで相当な被害があっただろうと想像できますが、その状況を完全に知ることができません。多くの人々が避難所での生活していますが、生き延びたペットたちはどうしているのでしょうか。
以前から多くの行き場を失った犬を保護し、新しい第二の犬生へと繋ぐ活動を行ってきたピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)は、1月8日より、被災地にペット支援チームを派遣。まずは、地元の市役所、保健所、動物愛護センターを回り、必要とされる支援について調査しました。
■避難所でのペットと一緒に生活は認められない?
環境省が推奨する災害時の「同行避難」という考え方があります。これは、「飼い主がペットとともに安全な避難場所まで共に避難をすること」とされているわけですが、「避難所でペット共に生活する」とは明記されていません。
「同行避難」に似た言葉で、「同伴避難」というものもあり、こちらは、基本的に動物と共に過ごすものです。しかし、この2つは言葉が混同されて使われているケースがあり、特に今回のような震災では推奨されないこともあるようです。
そのためペットと共に避難所に避難してきた人の中には、「同伴避難」が認められず、やむを得ず避難所の玄関、倉庫、駐車場での車中泊などを強いられる人もいます。
ペット支援チームのスタッフが暖房器具もない寒い場所で飼い犬と一緒にいる人に聞くと、「仕方ないです。それでも雨ざらしでないだけ、ありがたいと思っている」と言いました。別の人は、夜は飼い犬と一緒に避難所の下駄箱スペースで過ごし、日中は難を逃れた自宅倉庫に飼い犬と戻り居場所を確保しているとも。「今後は犬とともに移住するべきか、この地に留まるべきか……」と頭を悩ませていました。
■ペット同伴の被災者が欲している支援物資は?
ペット支援チームは7カ所の避難所を回り、ペットと一緒に避難生活をおくっている人たちを中心にサポート。特に犬たちに健康状態のチェックや、不足している支援物資を聞き出し、それに見合うできるだけ多くの物資を寄付しました。
要望が多かったのは、ペットフード、ペットシート、ウェットティッシュ。さらに地震の混乱で失ってしまった首輪やリードを求める人もいました。支援物資を受け取った被災者は「これで避難している間も、ペットをお散歩して息抜きをさせてあげられる。どうもありがとうございます」とスタッフにお礼を述べました。
ペット支援チームでは、今後も「被災者がペットを一緒に過ごすための環境作り」「ペットとの被災生活に必要なサポート」などを積極的に取り組んでいくとのこと。能登半島地震の多くの被災者そして最愛のペットに1日も早く落ち着くことができる日常が戻ることを願うばかりです。
ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp
(まいどなニュース特約・松田 義人)