愛犬を連れてのギリギリの避難 「一時的に預かってもらえませんか」 被災女性の言葉から始まった支援

これまで、多くの行き場を失った犬の命を救い、幸せな第二の犬生へと繋いできた団体、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。2024年元日に発生した「令和6年能登半島地震」を受け、ペット支援チームを緊急発足。被災地へ赴き、特に犬を飼っている被災者のサポートを続けています。

ペットと一緒に避難している人は、そうでない人よりも厳しい避難生活を強いられるケースが多いです。しかし、それでも「ペットは家族なのだから、厳しい生活でも人間と動物の命があるだけでありがたいと思っている」と話す人もいます。

この状況を少しでも良くできないものだろうか。不足しがちな物資の支援だけでなく、さらに自分たちに協力できることはないだろうか。ペット支援チームのスタッフたちは頭を悩ませています。

■「厳しい避難生活の中で、犬に元気をもらっています」

駐車場で車中泊を続けているという柴犬を飼っている家族がいました。話を聞くと、この柴犬は、2カ月に1回ほどてんかん発作が起こるため、避難生活中も「発作が出たらどうしよう」と常に不安だったそうです。

かかりつけだった動物病院も避難所からは遠く、被災している可能性もあります。無事に継続していたとしても平常時のように薬が入手できるか分かりません。不安を抱えながらの避難生活が続きますが、飼い主家族はこうも言います。

「皆が不安で大変な生活を強いられている中で、この黒い柴犬が元気に飛び回る様子は、私たちにとって唯一の元気を保つ源です。家族みんなが、この黒い柴犬から元気をもらっています」

■「一時的に犬だけでも預かってもらえませんか」

ペット支援チームは、同じ駐車場で避難生活を送る女性にも話を聞きました。

この女性は14歳のダックスフンドと一緒に過ごしています。この犬は高齢で持病があり、「このままずっとここで過ごしていけるのだろうか」と話していました。また、自身の親は介護が必要で不安は尽きません。この女性は支援チームのスタッフにこんな相談をしました。

「この犬も体調も心配だし、親のお世話もしなければいけない状況なので、一時的に犬だけでも預かってお世話をしてもらえませんか。状況が落ち着いたら、必ず迎えに行きますから」

■「ペットの一時預かり」も被災者支援の一つのカタチ

ペット支援チームのスタッフは当初より「不足しがちな物資の支援だけでなく、さらに自分たちに協力できることはないだろうか」と頭を悩ませていましたが、女性の言葉に心を突き動かされました。「被災地のペットを、状況が落ち着くまで我々で預かってお世話すれば良いのだ」と。

ペットの様子は、避難生活のひとときの癒しになるでしょう。しかし、ペット同伴の被災者の厳しい生活やペットの持病などにかかる不安はぬぐえるものではありません。

ギリギリの状態でペットと被災生活を過ごす人の負担が少しでも軽くなるように、ペットの一時預かりをスタートさせました。持病の有無、犬種、バックボーンなどにかかわらず、これまでに数多くの犬の命を救ってきたピースワンコならではの取り組みです。

現在もこの活動は続いています。被災者から「預かってほしい」という申し出があれば順次相談に乗るとのこと。これもまた被災者支援の一つのカタチです。今後もピースワンコの取り組みを見守っていきたいと思います。

ピースワンコ・ジャパン

https://peace-wanko.jp

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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