「相続税」都心部では5人に1人が負担している現実 50代男性「子どもに多くの財産を残すため、簡単にできることはありますか?」【FPが解説】
「相続税」という言葉を聞くと「少数のお金持ちが払うもの」と思っている人は多いかもしれません。
確かに、生命保険文化センターの2021(令和3)年の発表によると相続税を支払う人の割合は約9.3%となっており、比較的低い数値といえます。この数値のみを見ると多くの人にとって相続税は関係ないかもしれません。しかし東京国税庁と東京都福祉保健局のデータによると東京都心部に住む人に限っては、約20%程度が相続税を支払っているようです。
このように、相続税は思った以上に身近な存在なのです。
Aさんも「自分には関係のないこと」と思っていた1人ですが、ある出来事をきっかけに相続税について不安を感じ始めました。
■Aさんは都内に家を持っている上場企業のサラリーマン
「最近、我が家の価値も高くなり、嬉しいが、このままだと相続税がかかるのか気になる…」
Aさんは50代男性で都内に持ち家のあるサラリーマン。最近、家の価値が非常に高くなり嬉しいのですが、ふと相続のことが気になり始めています。
なぜなら、親から相続を受けた同僚の友人から「想定外の相続税がかかった」と聞いたからです。その友人は、数百万円もの相続税を支払うことになったと言っていたため、Aさんは大きな不安に駆られていたのです。
「せっかく苦労して買った家だし、お金だって汗水たらして稼いだんだ。できるだけ相続税をかけずに子供に残したい。」
都心部の相続税を支払う人の割合が5人に1人になりつつある今、相続対策を始めたいと思っているが何から始めていいかわからない……。Aさんは先の事ではありますが、家族により多くの財産を残すために簡単にできる相続対策が知りたいと思い、FPの鳥居佳織さんに相談をしました。
■簡単に相続税対策をしたいのであれば贈与平準払い保険がおすすめ!
--相続対策と聞くと、大変そうなイメージがありますが、簡単にできる相続税対策ってあるんですか?
相続税を少なくするためには様々な方法がありますが、特に贈与という方法がおすすめです。
--贈与ってそもそもなんですか?
贈与とは、お金や土地などの資産を他者にあげることです。贈与を行うと資産を減らせるため、大きな効果を期待できます。具体的には奥様やお子様に資産を移すことによって、相続税を減らすことができるのです。
--なるほど、確かに良い方法のように思えますが、特に子供はお金を使ってしまわないか心配です。
そうですね。そのように考える親御さんは非常に多いです。もしお子様の浪費が気になるのであれば、「平準払い保険」を絡めた贈与を行いましょう。
■平準払い保険を絡めた贈与とは
--なかなか難しい言葉ですね。平準払い保険を絡めた贈与とはなんですか?
平準払い保険を絡めた贈与とは、その名の通り贈与に平準払い保険を絡めた相続税の節税方法です。やり方は非常に簡単で、お金を受け取る人が平準払いの終身保険に加入をします。
平準払いの終身保険とは保険料を分割して、一生涯、または一定の期間に一定の金額の保険料を支払うことで、被保険者が亡くなった場合に死亡保険金を一括または年金で受け取る保険商品です。保障は契約を解約されない限り一生涯続きます。また貯蓄性も兼ね備えているため解約返戻金を原資に資産を遺すことも可能です。
平準払い保険を絡めた贈与の契約形態は、以下のとおりです。
・契約者…お金を受け取った人
・被保険者…お金を渡す人
・死亡保険金受取人…お金を受け取った人
このような契約形態にすることによって、お金を受け取った人は保険料にお金を回さなければいけないため、無駄遣いできなくなります。
また被保険者であるお金を渡した人に万一の事態が起こった場合、保険金としてお金を受け取った人にお金が入りますので、そのお金を相続税の支払いに充てることができます。
このように贈与の効果を最大限に生かせるのがこの平準払い保険を絡めた贈与になるのです。
相続税の節税の方法にはいくつもありますが、相続税を絡めた平準払い保険は非常に簡単に行えるので、富裕層の間では特に人気のある節税方法になります。
◆鳥居佳織(とりい・かおり)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて8年間勤務。保険コンサルティングでは個人、法人、問わず生命保険や損害保険を幅広く販売。金融ジャンルの専業ライターとして活動中。金融全般に関するさまざまな相談に応じてきた経験があり、実体験ベースでの執筆が得意。主に保険、年金、資産運用など幅広く執筆している。
(まいどなニュース特約・八幡 康二)