わが子への母の思いと友情から生まれた「大福あんぱん」 福井の銘菓が生まれたストーリー
パンと大福。親和性をさほど感じない2つを合わせた「大福あんぱん」なるものが福井県鯖江市にあると耳にしました。あんぱんの中に、大福を丸ごと包んで焼き上げたもので、誕生から40年以上が経過。著名デザイナーも愛した一品なのだと言います。
全く想像がつかないその味。その大福あんぱんを紹介します。
■「あんぱん」考案の名店『木村屋』ののれん分け
大福あんぱんを考案したのは、福井県鯖江市にあるヨーロッパン キムラヤというパン店。フランス調の本格パン店の雰囲気ですが、あんぱんを考案したことで知られる東京の木村屋(現在の木村屋總本店)からののれん分けした店だそうです。
ヨーロッパン キムラヤには様々なパンが販売されていますが、一番はやっぱり大福あんぱん。県外からも多く訪れるそうです。さっそく筆者も購入しました。
■出会うべくして出会ったパンと大福の運命
一口かじると、小麦豊かな風味を感じるブリオッシュ生地の中に、大福が入っています。大福の甘味、もちっとした皮の風合いが、パンとよくマッチし、なかなか品の良い味わい。意外なもの同士を組み合わせているのに上品なスイーツパンの印象もあり、パンと大福が、出会うべくして出会った運命のマッチングのように感じました。
■パリで暮らす子を思う母と、パン職人の思いが合致して誕生
大福あんぱんのストーリーについて、ヨーロッパン キムラヤの古谷聖津子さんに話を聞きました。
「当店の2代目がパリへと赴く際、パリで暮らす大福好きの日本人の友人を驚かすため、大福をパンで包み焼きあげ、お届けしたのが最初の成り立ちです。ちなみに、このときの大福は、その友人のお母さまから預かったものを使わせていただいたと聞いています。
遠い異国の地で暮らす子どもを思い、そのお母さまが当店に『大福』を託してくださったわけですが、その思いを受け、2代目はパンの焼き方にもこだわりました。パリで『幸せの象徴』とされるブリオッシュの生地で包んで焼き上げました。
パリの友人は、『あんぱん』だと思って口にしたところ、中からは大福がお目見えし、さらに母から託された経緯を聞き、目頭を熱くしたと聞いています」(古谷さん)
■現在は3代目が焼いている
大福あんぱんは、ヨーロッパン キムラヤ以外にも、各地で開催されるパンフェスなどの催事や、福井県のアンテナショップでも購入できます。また、『うまいもんドットコム』という食品ECサイトでも購入することができます。
「現在、『大福あんぱん』は3代目が受け継ぎ焼き上げています。新たな創造と研究、職人の真心を込めた手作りの味を多くの方にお召し上がりいただければ幸いです」(古谷さん)
ヨーロッパン キムラヤ
http://www.e-kimuraya.com/daifuku.html
(まいどなニュース特約・松田 義人)