「北斗の拳」いい人キャラほど悲惨な最期 レイ シュウ シャチの結末シーンが切ない
1983年から1988年まで週刊少年ジャンプ(集英社)で連載された漫画『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫)。本作を改めて読むと、敵味方問わず多くのキャラが命を落としています。なかでも主人公・ケンシロウの味方となり、手助けしてくれる「いい人」キャラほど悲惨な死を遂げています。そんな悲惨な死を迎える人気の「いい人」キャラたちを振り返ってみましょう。
ケンシロウの味方で悲惨な死を迎えた人気キャラの代表格といえば、南斗水鳥拳伝承者・レイでしょう。もともとレイは、ケンシロウの名を語り悪行の限りを尽くすジャギにさらわれた妹・アイリを捜していました。道中で出会ったケンシロウの助力もあり、アイリとの再会を果たしたレイは、引き続きケンシロウに協力します。コミックス8巻「小さな勇者!の巻」で、村を襲った拳王軍からアイリやリンを救い出した際のセリフ「てめえらの血は なに色だーーーっ!!」は、レイの正義の心を表した名言といえるでしょう。
そんな正義に熱いレイは、村を襲った拳王軍を蹴散らして、アイリやリンを救い出すも、拳王軍を束ねる支配者・ラオウとの戦いに敗れ、3日後に全身から血を噴き出して死ぬ秘孔「新血愁」を突かれてしまいます。一度はケンシロウの義兄・トキの手によって延命されるも、死を避けることはできません。最期は死に様を仲間に見られないよう1人で小屋の中に籠り、秘孔の効果通りに全身から血を噴き出して絶命します。小屋の中で1人で死と向き合うレイの気持ちを想像すると、気持ちが沈んでしまうのは私だけではないでしょう。
レイと同じ南斗の男である南斗白鷺拳伝承者・シュウも悲惨な最期を迎えたひとりです。シュウは昔、まだ幼く修行中だったケンシロウの命を、自らの両目を引き換えに救い出したことがある同作品で1、2位を争うほどの「いい人」です。
しかしシュウの優しさが仇となったのか、対立していた南斗鳳凰拳伝承者・サウザーとの戦いではシュウが今まで救ってきた子供たちを人質に取られて敗北します。その後サウザーが建設している聖帝十字陵というピラミッドの頂点で、そこに置く巨大な石を持たされたまま全身に矢や槍の一斉射撃を受け、石に押しつぶされながら絶命するのでした。
SNS上では、「シュウが死ぬ場面は涙が止まらなかった」「死の間際にケンシロウの顔が見れた場面は涙腺崩壊」など声があげられ、その悲しい最期に多くのファンが涙したことが分かります。
修羅の国で羅刹と恐れられた北斗琉拳の使い手・シャチも悲惨な死を遂げたひとりです。シャチは修羅の国にやってきたケンシロウに協力する仲間で、ケンシロウが修羅の国・第一の羅将であるカイオウとの戦いで敗北した際には、身を挺してケンシロウを救い出しています。さらに負傷したケンシロウを抱えて逃げている最中に第二の羅将・ヒョウに見つかった際には、自らの左目を差し出して難を逃れるなど、生命を賭けてケンシロウを守り抜きます。
その後もケンシロウを支え続けたシャチでしたが、カイオウとの戦いで左腕と右脚を失ってしまいます。しかし愛する女性・レイアを守り抜くために瀕死の体ながらカイオウを圧倒する戦いを見せて生涯を終えるのです。シャチの壮絶な死に対してSNS上では「シャチの壮絶な最期に深い愛を感じた」「女人像に力を与えられ見事な最期を迎えた」など感動の声が集まっています。
今回注目した3人はいずれもしてケンシロウに力を貸した仲間でした。彼らの悲惨な死を乗り越えてケンシロウが強敵に打ち勝っていく展開は『北斗の拳』の醍醐味といえるでしょう。
(海川 まこと/漫画収集家)