小学館、詳細説明なしに漫画家「ありえない」「30年前と変わらない」「忘れないからな」社風批判も 芦原妃名子さん急死経緯、明らかにせず

「ありえない」「これはない」ー。ドラマ化された漫画「セクシー田中さん」の作者、芦原妃名子さんが急死した件について、出版元の小学館が芦原さん死去の経緯説明をする予定がないと報じられたことに、多くの漫画家からSNS上で憤りの声が上がっている。

スポーツニッポンは2月7日、小学館が2月6日に社員向けの説明会を開き、芦原妃名子さん急死に至った経緯などの詳細を明らかにしない理由について、「故人の遺志にそぐわない」などと説明したと報じた。

ちはやふるの作者、末次由紀さんはスポニチの報道を受けて、「責任のある会社なのだから、経緯説明や問題点の把握、今後の変化への道筋などが示されると思っていたのに、こんなことで終わりにできると?ありえない」「芦原先生の身になったらこんなの到底…」「なみだでてきた」などとX(旧Twitter)に投稿した。

コミックス累計発行部数1000万部を突破した「快感♥フレーズ」を小学館「少女コミック」で連載し、その後小学館を離れた新條まゆさんは「私が小学館から出るっていうブログを書いて大問題になった時、小学館は朝イチの会議で『作家にあんな偉そうな発言をさせないように管理した方がいい』ってなった」と告白した。「かたや集英社の会議では『こんな事態になる前に作家さんが不満を抱えてないか、聞き取ろう』ってなった」とし、「いい編集者って小学館にもたくさんいるし、今でも顔も見たくない人いるけど、社風というのは変わらないのだな。ホントに残念だ」と残念がった。

1990年代に少年サンデー(小学館)で執筆した高橋功一郎さんは「すごいな。作家側には絶対立たないその姿勢。自分がサンデーいた30年前と何も変わらない」と数十年前から作家を尊重しない社風だったと明かし、「ぶれないね!」と皮肉を込めた。また、「大手は全般的に守ってくれない?」という質問に対しては、「ほとんどの大手は守ってくれると思いますよ。自分的な感覚では小学館だけかなり特殊な印象です」と小学館の特殊性を強調し、「逆に良かったのは秋田書店。最高の編集さん、編集部でした」と付け加えた。

出版社のコミック誌編集部を舞台にした漫画「重版出来!」を「月刊!スピリッツ」(小学館)で連載し、テレビドラマ化された松田奈緒子さんは「小学館、最終決定ではないことを信じたい。時間がかかっても経緯説明し、再発防止に取り組んでほしい」と願いを込めた。

説明を避ける姿勢は、漫画家との信頼を損ねるという指摘も相次いだ。ボクシング漫画「はじめの一歩」を連載する森川ジョージさんは「誰が悪いという話したくないが、せめて出版社は毅然とした表明してくださいよ。代理人であり窓口だよ」「若い漫画家さん達が不安になっちゃうよ」と求めた。

集英社でヒット作「こういうのがいい」を連載する双龍さんは「原作に代わりはいないよ。唯一無二の作品を作っている立場なのでね。しかし出版社と編集部は割と代わりが効くよ」と原作の唯一性を挙げ、「もっと言えば出版社頼らなくても生計は立てられるからね。それを新人作家はよく知っておいて欲しいし、出版社側も知るべきだな。もう時代はとっくに変わってるぞ」と大手出版社でも選ばれる側の時代だと指摘した。

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