大阪では連日行列!!福岡が誇る「資さんうどん」が兵庫上陸へ 虜になる「隠れた名物」も…メニューに込めた創業者夫妻の思い

「資さん」と言われて、ピンとくる関西人はまだ多くない。関西以東なら、なおさらだろう。

福岡・北九州では定番のソウルフード「『すけさん』うどん」のことだ。昨秋の大阪進出に続き、2、3月には兵庫県初出店となる2店舗が尼崎市にオープンを控える。大阪では連日行列の人気ぶりといい、関西にも資さんファンが急増している。その魅力とはー。

■饂飩蕎麦発祥之地

福岡グルメといえば、とんこつをはじめとする濃厚ラーメンが全国区。しかし福岡市博多区には、「饂飩蕎麦発祥之地」と書かれた石碑が境内に建つ「承天寺」があり、地元のうどんチェーン店が複数存在する。福岡は麺の柔らかさが大きな特徴で、コシの強さで知られる「讃岐うどん」と比較されることもある。

1976年に創業した「資さん」は、北九州市内を中心に九州・山口で66店舗を展開。2023年11月には関西初出店となる大阪市の「今福鶴見店」がオープンした。さらに2月28日には「尼崎浜小学校前店」(尼崎市浜1)、3月13日には「尼崎アマドゥ店」(同市道意町7)の2店舗オープンを控える。

同社は知名度アップなどを狙いに、1月末に兵庫県内の4カ所でプロモーション販売を実施。定番の「肉ごぼ天うどん」計800食を完売し、一部は予定時間を待たず売り切れとなる人気ぶりだった。北九州で4年間暮らしたことのある記者も、噂を聞きつけプロモーション3日目の「グンゼタウンセンターつかしん」前で1時間ほど並んだ。北九州ナンバーのキッチンカーが物珍しく、吸い寄せられるように並ぶ人も。後ろにいた親子はつぶやいた。「おいしそうやなあ。何て読むんやろ。しさん?」

「肉ごぼ天うどん」は、ゴボウの天ぷらと肉が載った人気ナンバーワン。どちらも九州ではポピュラーなトッピングだ。だしはサバ節、昆布、シイタケなどから取り、作り置きはせず各店舗で取るそうだ。「資」と書かれたかまぼこが、愛らしい。

「『ごぼ天』は約14センチのスティックタイプ。全体の3分の1程度がダシに浸った状態で提供し、残りの部分はさくさく食感をお楽しみいただけます。肉はたっぷりのタマネギと一緒に九州しょうゆなどで甘辛く炊き、肉の煮汁とうどんのダシが合わさると、ほんのり甘さが広がり、ほっとする味わいを堪能いただけます」(同社広報部)。麺の固さについて「表面は柔らかいですが、中はもちもちした食感のため、博多と讃岐のいいとこ取り」という。

■隠れた「名物」が労働者の胃袋をわしづかみ

「資さん」の定番はうどんだけではない。100種類以上のメニューをそろえる同店では、意外な名物がある。それが「ぼた餅(おはぎ)」だ。

北九州はかつて、日本の産業近代化の礎を築いた「官営八幡製鉄所」(現・日本製鉄九州製鉄所八幡地区)をはじめ、多くの工場や海運・物流会社があった。

その労働者たちが食事を取る屋台では、食後に甘いぼた餅を食べることが当時の定番だったという。同社によると、創業者の大西章資(しょうじ)氏は、「食後に甘いぼた餅を食べ、明日への英気を養ってもらおう」という、北九州独自の文化を守り継ごうと、うどんにちょうど良いあんばいの「ぼた餅」を夫婦で作り上げたという。

当初は一部の店舗やスーパーの催事などでの販売だったが、あまりの人気ぶりに全店販売となり、現在は年間540万個を売り上げる名物として親しまれている。

ちなみに「資さん」の名称は、大西氏の名前の読み方が「あきすけ」と読み違えられることがあり、従業員との笑い話から名付けられたという。関西では「コープさん」「えべっさん」などと親しみを込めて呼ぶ風習があるため、「資さん」もすんなり馴染みそうだ。オープンが待ち遠しい。

(まいどなニュース・神戸新聞)

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