「もういらない。殺処分する」…虐待犬を迎え、かまれて血だらけになっても抱き締めた…甘えん坊のわが子になるまで
おっちょくん(12歳・オス)は、ミニチュアピンシャー。元の飼い主が、「ペットショップで一目惚れして飼ったが、もういらない。貰い手がいなかったら、保健所で殺処分してもらう。」と言ったため、トリマーが引き取った子だった。トリマーは、おっちょくんの里親を探した。
そのトリマーは岐阜県在住のかーこさんと知り合いだったのだが、偶然スーパーで会った時、かーこさんはおっちょくんの話を聞いた。
「近所のブリーダーから買ったシーズー犬が2匹いたのですが、先に来たシーズー犬が亡くなったので、おっちょを迎えようと思いました。」
■噛み付く犬の気持ちに寄り添う
名前は、すばしっこくて落ち着きがないから、「おっちょこちょい」のおっちょにした。
おっちょくんは最初は大人しそうだったが、ごはんをあげようと思って手を差し出したら、思いっきり噛み付いてきた。
「虐待されていたそうで、部屋に入るなり飛びかかって噛みにきて、血だらけになることもしばしばありました。どうしたらいいのか調べるうちに、犬の気持ちに寄り添うことを学びました。おっちょの気持ちになって寄り添いました。」
噛まれて流血してもおっちょくんを愛しているかーこさん。おっちょくんを迎えたばかりの頃、想像以上のジャンプ力で柵を乗り越えたおっちょくん。かーこさんが帰宅すると門の前で仁王立ちになっていたという。
「よく家の前で待っていてくれたと、震えながら抱っこしました。来たばかりだけど、自分の家なんだと思ってくれていることに感激しました。」
次第に家族との信頼関係を築いて行ったおっちょくん。今でも怖がりで臆病、神経質なところがあるが、甘えん坊のやんちゃ坊主でもある。
「食べようと思っていたお弁当をひっくり返されたり、キッチンに置いておいたおかずを取られたりします。懸垂して鍋のおかずを食べていたのを見た時には笑いました。」
今では噛み付くこともなくなり、イケピン=イケてるミニピンっぷりを発揮しているそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)