猫27匹を飼っていた家が火災 飼い主が亡くなり、残された猫を愛護団体が保護「すすだらけで、飼い主の帰りを待っていた」

香川県内で猫を多頭飼育している飼い主さんの自宅で火災が起きました。飼い主さんが亡くなり、また飼っていた一部の猫も命を落としたとのこと。その現場に生き残った猫たちのレスキュー依頼を受けたのが、動物愛護団体「アニマルスマイル香川」。火事が起きて1週間ほど経った1月21日、同団体のメンバーらが現場に入りました。そこには、真っ黒ですすだらけになった家具の上などに飼い主さんの帰りを待つ猫たちがいました。

「私たちが入る前は、猫たちの焼死体があったと飼い主さんの遠縁の方から聞いていました。既に遺体は片付けられ、残りの猫は8匹くらいとのことでしたが…次々と現れて。捕獲器などを使って保護しました」(アニマルスマイル香川)

■猫が増えたのは? 生前の飼い主「猫好きを利用して猫を押し付けた人たちがいる」 

4日間にわたり27匹の猫を保護しました。このうち雌が12匹、雄は15匹。特に目立ったけがもなかったものの、全ての猫たちは鼻や耳の中まですすだらけになっていたといいます。

「幸い目に見えて状態の悪い子はおらず、明らかにシニア猫だと思われる子は看取りとして、若そうな子はこれからのケア次第で里親探しもできそうなので、できる限りみんな里親さんにつないであげたいと思います。近寄るとまだ不審者を見る目付きで見つめてきますが、ご飯の時間になるときゅるんきゅるんの目で見つめてきて、とってもかわいいです」

今回火事で発覚した多頭飼育。猫たちが増えてしまった原因について、不妊手術などが追い付いていなかったことを「アニマルスマイル香川」さんは指摘します。

「多頭飼育崩壊をしていたのか、崩壊寸前だったかは定かではないですが、不妊手術をしていない猫がいました。近所の人たちがこんなにたくさんいるのを知らなかったことから、外を自由に歩かせていたわけではないので、おうちの中だけで増えていったのだと思われます。特に猫の多頭は犬と違い外から分かりにくい場合が多いです」

ただ多頭になってしまった背景に、生前飼い主さんが周りに「(飼い主さんの)猫好きを利用して猫を押し付けた人たちがいる」と話していたとか。

「きっと飼い主さんはかわいそうだからと抱えきれない猫を引き受けていたのだと思います。捕獲のために家の中に入らせてもらった時に、猫たちのフードやレトルトが大量にストックされていた形跡もありました。その量から猫たちのためにと1人で必死に頑張ってきたんだなと思いました。数十匹分というと金銭的な負担はもちろん、買いに行って運ぶだけでも重労働ですからね。ですので、一方的に飼い主を責めることはできませんし、火事で亡くなってしまったので、もう心の内を聞くこともできません。保護して元気に過ごしてるよ!と一言だけでも伝えてあげたかったです…」

そんな火事現場を踏まえながら、これまで多頭飼育現場に何度も足を運び、犬猫たちのレスキューをしてきた「アニマルスマイル香川」さんはこう訴えます。

「保護団体ですら多頭崩壊をしてしまうこのご時世、気持ちだけで命は救えません。個人だとなおさらです。自分が救いたいと思った命を押し付け合うような世の中はもう終わりにして、自分にできることを見つけ1つずつでも始めてくれる人が増えるよう願っています。私たちも多頭崩壊にならないよういろいろ工夫していますが、頭数が増えるとどうしてもひとりひとりにかけてあげられる時間は減ってしまいます。県内にお住まいの方はぜひお世話ボランティアをお願いしたいです」

保護した猫たちはシェルター2カ所に分けており、ほとんどが不妊去勢手術をしていないため順番に必要な医療をかけて里親募集をしていきます。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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