散歩を知らずに育ったタヌキ顔のミックス犬 体を清潔にしてもらい人間を信じられるように トレーニングを頑張ってるよ
2023年11月、茨城県の動物愛護センターにパピヨンミックス犬が収容されました。多頭飼育の現場から引き取られ、名前は「ぽえむ」。体重は5.6キロ、推定3歳ほどのメスです。愛くるしいタヌキ顔をしていますが、当初は体中の毛が絡み合い、排泄物もこびりつき、元いた環境の劣悪さを示していました。
このぽえむを引き出すことにしたのが、埼玉県・茨城県を中心に行き場を失ったワンコの命を救い続ける犬保護団体・restartdog LIEN(以下、リアン)です。
■預かりボラさんの献身的なケアで心を開くように
リアンのスタッフは、引き出したぽえむの体をきれいにしてあげました。本来のふわふわの被毛が蘇りかわいい姿に大変身。絡み合う毛玉を取るためにバリカンで刈り上げました。
多頭飼育現場から保護されたワンコの中には、人間と触れ合う機会が少なかったり、人間への良い記憶がないことから、初めて接する人に「また放っておかれるの?」「また意地悪されるの?」と警戒心や恐怖心を抱くケースがあります。ぽえむも人間の愛情を知らずに育ってきたのでしょう。トリミングが終わり、預かりボランティアさんの家に預けられることになってからも、先住犬に対してというより人間に警戒心を抱き、怖がっている様子が見られました。
そこは優しい預かりボランティアさん。他の先住犬と分け隔てなく接する一方で、ぽえむのペースを急かさず、たっぷりの愛情を注ぎ世話を続けました。すると、「この人は元いた環境の人よりも優しくて信用できる」とぽえむが思ってくれたのか、当初の警戒モードから一変し、預かりボランティアさんに心を開き、ご機嫌な様子を見せてくれるようになりました。
■苦手な散歩を一歩ずつトレーニング中
元いた環境では散歩も行かなかったようで、特に屋外を歩くことが苦手でした。
散歩に連れ出すも、初めての道、車の音、知らない人など、見るものすべてにおびえ、その場でガチガチに固まってしまったり、「嫌だ!」と逃げ出そうとしたりしていました。
そこでも預かりボランティアさんは慌てません。「大丈夫大丈夫。少しずつ散歩に馴れていこうね」と優しく声をかけ、日ごとに散歩のやり方を変えるなど工夫をこらしました。当初は固まったり、逃げ出そうとしていただけだったのに、今では預かりボランティアさんに「私を助けて!」とアピールするように。それだけでも大きな前進です。預かりボランティアさんは、ぽえむのペースを最優先に根気強く散歩トレーニング、人馴れトレーニングを実施していています。そして、さまざまなトレーニングをクリアした際には、ぽえむにピッタリの里親さんとのマッチングを目指し、幸せな第二の犬生へと繋いでいきたいと言います。
これまで満足な世話もされず、本来なら受けるべき愛情も受けられなかったぽえむだからこそ、第二の犬生では幸せいっぱいで安心した毎日をおくれることを願うばかりです。
犬保護団体restartdog LIEN
https://restartdoglien.jimdofree.com/
LIENインスタグラム
https://www.instagram.com/restartdoglien/
(まいどなニュース特約・松田 義人)