新NISA「なんか、思ってたんと違う」 希望のファンドが買えない、投資枠復活には時間がかかる…注意したい落とし穴【FPが解説】

「新NISAって思っていたのと違っていた」最近このような声をよく聞きます。そもそもNISAとは、NISA口座で毎年一定金額の範囲内で投資信託や株式などへの投資をおこない、この投資で得られた利益は非課税となる制度です。

2024年1月から開始した新NISAでは、旧NISAと比較して非課税枠の拡大や年間投資枠などさまざまな点が改善されています。

新NISAは素晴らしい仕組みですが、勘違いしやすいポイントもたくさんあります。実際にサラリーマンのAさんが勘違いしてしまった新NISAのポイントに注目してみましょう。

■新NISAでは買えないファンドがあるなんて

Aさんは35歳のサラリーマンで、妻と5歳の男の子と暮らしています。これから大きく教育費がかかると危機感を覚え、3年前から投資を始めました。順調に資産は増えており、投資を始めて本当に良かったと思っています。2024年から新NISAが始まりAさんは、より投資に力をいれたいと思っていますが、新NISAの意外な落とし穴にはまってしまいました。

Aさんがしていた勘違いの1つ目は、「旧NISAでは買えたけど、成長投資枠では買えない銘柄もある」というものです。Aさんは旧NISAも利用しており、分配金が出る投資信託を購入していました。新NISAの成長投資枠でも同じファンドを購入しようと思っていましたが、新NISAでは基本的に毎月分配金が出るファンドについては対象外で「予定が狂ってしまった」と頭を抱えています。

新NISAに関する2つ目の勘違いは、「売却して投資枠が空いてもすぐには復活しない」ということです。新NISAの利用限度額は以下の通りです。

   ◇   ◇

・1年間に投資できる金額

成長投資枠…240万円

つみたて投資枠…120万円

・投資できる総額…1800万円(そのうち成長投資枠は1,200万円まで)(一生涯の総額)

   ◇   ◇

Aさんは一生涯の総額の範囲内であれば売却して投資枠が空けば、すぐにその年からその枠を使えると思っていました。しかし、実際に枠が復活するのは翌年からなのです。

このように新NISAには勘違いしやすいポイントがありますが、よくある他の勘違いについてFPの鳥居佳織さんに聞きました。

■「成長投資枠」「つみたて投資枠」利用上限を整理すると…

--つみたて投資枠の利用限度額がよくわかりません。

新NISAは成長投資枠とつみたて投資枠に分かれています。成長投資枠の上限は1200万円ですが、つみたて投資枠の上限は1800万円です。つまり、成長投資枠を一切使わずに全て、つみたて投資枠を使って投資することができます。もしかすると、成長投資枠の上限が1200万円なのでつみたて投資枠の上限が600万円と思われている方がいるかもしれません。

しかし、そのようなことはなく、成長投資枠はあくまで内枠なので、使っても使わなくても問題ありません。

逆につみたて投資枠は新NISAの累計上限金額の1800万円全て使えるので、つみたて投資枠だけですべて埋めることが可能なのです。

成長投資枠とつみたて投資枠を整理すると、以下のようになります。

   ◇   ◇

・累計上限枠…成長投資枠1200万円、つみたて投資枠1800万円

・年間利用上限額…成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円

※成長投資枠とつみたて投資枠合わせて1800万円まで

   ◇   ◇

つまり、成長投資枠の年間利用上限金額は240万円なので、最短5年で枠を埋められます。

一方、つみたて投資枠の年間利用上限金額は120万円なので、15年かけて枠を埋める形になります。あまり投資資金がない方にとっては、全てつみたて投資枠の利用が良いでしょう。

ただし、成長投資枠でも一括で投資をせずに、毎月一定の金額を積み立てることができます。利用できる商品も成長投資枠の方が多いので、うまく併用するようにしましょう。

--新NISAHは配当金も非課税ですよね?

結論としては、原則配当金に関しても全額非課税になります。ただし、日本の株式や投資信託の場合に限ります。外国株やETFの場合、配当金(分配金)を受け取る場合、現地課税10%が発生するので注意してください。あくまで新NISAで無税になるのは国内税だけです。

最近、米国株を中心に非常に人気がある外国株ですが、このような注意点がありますので、しっかりと覚えておきましょう。

◆鳥居佳織(とりいかおり)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大手生命保険会社にて8年間勤務。保険コンサルティングでは個人、法人、問わず生命保険や損害保険を幅広く販売。金融ジャンルの専業ライターとして活動中。金融全般に関するさまざまな相談に応じてきた経験があり、実体験ベースでの執筆が得意。主に保険、年金、資産運用など幅広く執筆している。

(まいどなニュース特約・八幡 康二)

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