野犬だった2匹の子犬 どちらもお散歩大好きの甘えん坊 人馴れトレーニングを頑張ってるよ
岡山県を拠点に行き場を失ったワンコの保護活動を行う団体・しあわせの種たち。同団体は岡山県動物愛護センターの譲渡事業と協同し、収容された動物の里親探しをしています。
人馴れしていない犬、傷病犬・高齢犬など譲渡の対象外となり、殺処分の恐れがある犬たちを順次引き出し、ボランティアにより適切な治療や訓練を行った上で縁へと繋げています。動物愛護センターに収容されるのは人間によって捨てられた動物ばかりではなく、生まれながら野犬として育ち、人間に愛されることを全く知らない犬もいます。
2023年、動物愛護センターに収容されたオスの糸とメスのこまちも「野犬の子犬」として生まれた生後4カ月ほどの子犬でした。
■ビビリの一方、散歩や運動が大好きな糸
糸もこまちも当初、動物愛護センターからの要請を受け、人馴れ訓練や散歩訓練のトレーニングをするため、しあわせの種たちのメンバーに家で一時預かりを行っていました。その後、糸もこまちも同団体で引き取ることにし、同時に新しい里親さんを募集し、幸せな第二の犬生へと繋ぐことを目指すことになりました。
イケメンワンコの糸は人馴れがまだ難しい様子で、メンバーの家でもサークルから出ることが難しい状態。しかし、深夜になると「僕の時間がやってきた!」とばかりに、相棒のこまちと一緒に大運動会を始める活発な面がありました。
人馴れはまだ難しいものの、外を歩くことは大好き。メンバーがリードを見せるとスタスタ近寄ってきます。このことから本来の糸は元気いっぱいのワンコで、人馴れさえクリアしてくれれば、きっと里親さんの心を癒してくれる存在になってくれるように映ります。
■人間や他のワンコへの警戒心が薄いこまち
一方のこまちは、まろまゆがかわいい女の子で、野犬出身にしては珍しく人間をさほど怖がりません。もちろん、相棒の糸と遊ぶことも大好きで、お散歩も上手にこなします。
他のワンコとの協調性もあり、メンバーの家にいる先住犬にはベッタリ甘えるそぶりも見せてくれます。その愛らしいルックスと合わせてなかなかかわいらしいワンコです。
■糸とこまちは今日もトレーニングを重ね続ける
当初は、なかなか心を開いてくれなかった糸も時間が経過するにつれて、少しずつ本来の自分を出してくれるようになりました。また、相棒のこまちの甘えん坊ぶりをお手本にしたのか、少しずつ甘えてくれる素ぶりも見せてくれるようになりました。
そのぎこちないしぐさがかえってかわいい糸ですが、さらにそれを穏やかに見守るこまちもまたかわいらしく、しあわせの種たちのメンバーでは糸、こまち双方を譲渡会に参加させることにしました。
糸、こまちともに注目を浴びましたが、2匹とも「この人なら」という相性バッチリの里親さんとのマッチングには至りませんでした。
それでもしあわせの種たちのスタッフは慌てません。むしろ、「より人馴れトレーニングをすることができる時間をもらった」とばかりに、日々2匹に世話を続けるともに、さらなる譲渡会への参加やネットでの呼びかけを実施することにしました。
「元野犬の保護犬」と聞くと、なかなか取っ付きにくく感じる里親希望者さんがいるかもしれません。しかし、必ずしもそうとは限らず、きちんとしたトレーニングを行えば、かけがえのないパートナーになってくれるのです。
近い将来、そのことを糸とこまちが証明してくれるはずです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)