チャームポイントは垂れ耳 生後3カ月で収容された子犬 すくすく成長、幸せを手にした

「保護犬」と言っても、大まかに「元野犬」「元飼い犬」といった区別ができますが、その出自やバックボーンは様々。中にはまだ生まれて間もない状態で保護されるワンコも少なくありません。

2023年春、岡山県動物愛護センターに保護された元野犬のメスのマムも生後3カ月ほどの子犬でした。本来ならまだ母犬が恋しいはずの月齢ですが、経緯は不明ながら幼くしてひとりぼっちになり、センターで過ごしていました。

■初めて見る人間に怯えた表情を浮かべていたマム

マムの存在を知った岡山県を拠点に動物保護活動を行う団体、NPO法人しあわせの種たちでは、まず一時預かりで適切なトレーニングを実施。その後、同団体で引き取ることにし、世話をし続けながら里親募集をかけることにしました。

写真の通り、マムは垂れ耳がかわいいミックス犬。岡山県動物愛護センターで人間と初めて接することとなり、当初はかなりおびえた表情をしていましたが、しあわせの種たちのメンバーの愛情をたっぷり受け、「この人たちは私に意地悪するわけではないんだ。むしろ優しい人たちなんだ」と感じ取ってくれたのか、やがて心を開いてくれるようになりました。

正式にしあわせの種たちで引き取ってからも、念入りな人馴れトレーニングを実施し、合わせて里親募集もスタートさせることにしました。まだ子犬なので、甘噛みすることがあったり、いたずらしてしまうこともありましたが、これは元野犬に限らずどんなワンコにも見られるもの。適切なトレーニングで多くのワンコがクリアできるものなので、それと合わせて里親募集を同時にかけたという次第でした。

■体が大きくなってもかわいい垂れ耳は変わらず

しあわせの種たちの公式ブログやSNSで、マムの情報と里親募集の呼びかけが拡散されると、すぐさま反響がありました。マムの愛くるしいルックスと、動画などでのマムの様子が多くの人々の目に留まり、すぐに複数の里親希望者さんが名乗りが上がりました。

そして、適切なトレーニングを終えた2023年6月にいよいよマムは一番ピッタリのお家へ迎え入れられることになりました。気づけば早いもので、マムの体はすっかり大きくなっており、貫禄さえ感じさせるほどに成長しました。

唯一変わらないのは、あのかわいい垂れ耳。これはマムのチャームポイントで、どれだけ貫禄がついても、どこか人々を笑顔にさせてしまう不思議な魅力がありました。

マムは、迎え入れてくれた里親さんの家で、新たに「ランちゃん」という名前をもらったそうです。生まれてまもない頃、ひとりぼっちで不安な思いで過ごしていたマムですが、ここで「ずっと一緒」の本当の家族を掴むことができたというわけです。

スタッフはマムが幸せをつかんだことをおおいに喜び、そして「優しい里親さんの元で、ずっとずっと幸せに過ごすんだよ」と声をかけ応援しながらマムを送り出しました。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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