片脚をブラブラさせた保護犬 大腿骨を折る大けがをしていた 子猫に添い寝する優しさが幸せを呼んだ

全国の動物愛護センターに収容される行き場を失ったワンコの中には、以前の環境でけがをしてそのままの状態の中でやってくるケースも少なくありません。2021年10月、岡山県動物愛護センターに収容された茶色と白の毛並みのメスのアドちゃんもその1匹。大腿骨骨折の状態で、発見時は、片方の後ろ脚をブランブランと上げたままで歩いていたそうです。

元飼い犬とおぼしきアドちゃんは、「迷い犬」として扱われ、2週間の迷子告示期間を実施。地元の動物保護団体・NPO法人しあわせの種たち(以下、しあわせの種たち)のサポートのもと、治療を行いながら元飼い主の引き取りを待ちましたが、残念なことに名乗りでる人は現れませんでした。

■団体スタッフが連れていった動物病院での診断は…

アドちゃんを動物病院で診てもらうと、大腿骨のちょうど真ん中で折れており、骨片のいくつかが散っているような状態でした。幸い、アドちゃんの年齢はまだ3歳くらい。若く代謝が良いため「結合手術を実施しリハビリすれば元のように歩けるようになるだろう」との診断でした。

しあわせの種たちのスタッフは迷わず、アドちゃんの脚の手術を実施することにしました。手術のため入院することになったアドちゃんは、「私はまたどこかに連れて行かれるの?」と不安げな表情を浮かべています。スタッフは「大丈夫だよ。今はちょっと辛いけど、我慢して手術を受けてね。再び4本の脚で走り回れる日に向けてがんばろうね」と声をかけてあげました。

■先住の子猫に添い寝してあげるアドちゃん

アドちゃんの手術は無事終了。骨折していた脚はプレートで接合することができ、術後しばらくすると、アドちゃんは4本の脚でしっかりと地面を踏んで歩けるようにまでなりました。

そして、元飼い主の名乗り手がなかったアドちゃんは、その後、しあわせの種たちで引き取りお世話をしながら、新しい里親さん探しをすることになりました。

この間、アドちゃんは預かりボランティアさんの家で過ごすことになりました。元飼い犬とおぼしきアドちゃんは預かりボランティアさんの家にもすぐ馴染み、その家にいる先住犬、先住猫数頭ともすぐに溶け込み仲良く過ごせるようになりました。

驚くべきは、ときに、先住の子猫の面倒をアドちゃんがしたこと。子猫を舐めてあげたり一緒に寝てあげたりと、その母性溢れる優しい一面も見せてくれました。

アドちゃんは遊ぶことも大好き。部屋の中でおもちゃを見つけると、口でくわえて預かりボランティアさんに自慢気に見せてきたり、他のワンコたちとじゃれ合うこともしばしば。

「それもこれも、脚が良くなったからできること。アドちゃんが元気になってくれて本当に良かった」とおおいに喜ぶ預かりボランティアさんでした。

■「これからずっとずっと幸せにね!」

後にアドちゃんは、最初の預かりボランティアさんの家から、別のメンバーの家へと引っ越し。相変わらず穏やかでお利口さんのアドちゃんは新しい環境にもすぐに馴染んでくれました。

スタッフは、「あとは新しい里親さんを見つけるだけ。近い将来良いご縁がありますように」と祈っていましたが、その願いが通じたのかアドちゃんに「ずっとのお家」が決まりました。実はアドちゃんのお世話してくれていた預かりボランティアさんが本当の家族になってくれることになったのです。

大好きだったであろう飼い主の元からひとりぼっちで離れ、あれだけの骨折を経験してもなお、小さな猫をかわいがる優しいアドちゃんが幸せをつかんでくれたことをスタッフはおおいに喜びました。そして「やったね、アドちゃん。これからずっとずっと幸せに過ごしてね!」と声をかけました。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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