おじいさん「風呂場やトイレはヒートテック注意」→それ「ヒートショックの間違いでは!?」実は命に関わる危険も

「隣に座ってたおじいさん2人が『ヒートテックは怖い』『風呂場やトイレは特にヒートテック注意』って話してて、『それ、ヒートショックです』って突っ込みたかったけど……」

先日X(旧Twitter)で見かけたこんな投稿に思わず笑ってしまいましたが、笑いごとじゃないのがこの「ヒートショック」。厚生労働省人口動態統計(令和3年)によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は4750人で、交通事故死亡者数2150人のおよそ2倍だそうです(※1)。入浴時の事故が多くなる原因の一つは、急な温度差による血圧の急激な変化「ヒートショック」によるものだと言われています。

※1 資料:消費者庁「無理せず対策 高齢者の不慮の事故」(令和4年12月)

■「ヒートショック」、命の危険に関わりますよ!

東京都健康長寿医療センターの調査(2011年)によると、実はヒートショックによる入浴関連死は、65歳以上が80%以上を占めており、特に75歳以上の高齢者が多くなっているとのこと。まさに、Xに登場していたおじいさんたちの会話は、正しいのです!

とは言ってもこのヒートショック、本来は高齢者だけの問題ではないんだそう。ヒートショックについて注意喚起しているオムロン ヘルスケアの担当者の方にお話を伺いました。

■入浴時は特に要注意、急激な温度変化が命を奪うことも!

ーー「ヒートショック」について簡単に教えていただけますか?

「ヒートショックは急激な温度差により、血圧が大きく変動することにより、血管や心臓に負担がかかることをいいます。ですから、暖かい室内から、寒い廊下やトイレに移動したり、寒い脱衣所で着替えた後、熱い湯船に浸かったりするなど、体が急激な温度変化を受けるとヒートショックが起こりやすいと言われています。そのため、冬だけではなく、体が急激な温度変化を受けた時は、注意したほうが良いと思います」

ーーヒートショックは、血圧が関係しているんですね

「はい、私たちの血圧は常に一定ではなく、環境の変化を受けて常に変動します。また季節などに応じて変動する場合もあります。特に冬は気温が下がるので、体温を保持しようと交感神経が働いて血管が収縮するため、血圧は上がりやすいんです。

そして血圧にとって危険な要因の一つが、急激な温度変化です。例えば、冷たい水に触れるだけで、20mmHg以上も血圧が上昇することがあるといわれています」

■ヒートショックの発症は、高齢者だけではない?!

ーーそれ、やってしまいがちです。ちなみに、ヒートショックになりやすい人の傾向などはありますか?

「特に高齢者は気をつけていただきたいですが、ほかにも高血圧や糖尿病などの生活習慣病を持つ人は注意が必要です。糖尿病の方は自律神経に障害があり、血圧が不安定です。浴槽から出ようと立ち上がったときに血圧がストンと下がりやすいといわれています。

さらに、高血圧や脂質異常症(血液中の脂質の値が基準値から外れている)の方は、動脈硬化が進んでいる可能性が高いので、血圧が変動しやすいとされています。更年期の女性も注意が必要です」

■日頃から血圧を測り自分の血圧を知ることが、予防の第一歩

ーーなるほど、高齢者だけでなく注意が必要ですね。ヒートショック対策には、どんなことが有効ですか?

「以下のようなことが考えられます」

①脱衣所や浴室は暖かく、湯温は約41度以下に

脱衣所や浴室は、暖房で暖かくしたほうが血圧の変動が少ないと言われています。暖房がない場合は、浴室の扉を開けて、シャワーで浴槽にお湯をはったり、浴槽のふたを開けておいたりすると脱衣所が暖まり寒暖差がなくなります。また、お湯の温度は約41度以下が良いとされています。

②入浴時は、家族にひと声かける

同居している人や家族がいる方は、入浴時はひと声かけて入浴するといいでしょう。特に高齢の方に対しては、5分おきに様子を見るのがいいと言われています。

③飲酒後の入浴は控える

飲酒をすると血圧が下がります。入浴中も血管が拡張して血圧が下がるので、飲酒後の入浴は、血圧が二重に下がりやすく危険な状態です。飲酒後の入浴は、控えるようにしましょう。

④入浴前に血圧を測定

高齢者の場合、血圧が高くて体調が悪くても本人が体の異変に気が付きにくいため、入浴前に血圧を測定するのがお勧めです。自身の体調を知る目安になります。もし、血圧が高い場合は、普段から注意が必要です。

ーーほかにも注意すべきことはありますか?

「ヒートショックによる急死は、入浴中に多発していますが、入浴した後も注意が必要です。救急搬送される方の中には、温まった体が急に冷えて、数時間後にリビングで亡くなっていた事例もあります。血圧の変動は入浴後、数時間は続きますので、急激な温度変化には注意が必要です」

「日本の住宅環境は海外に比べると寒い」と言われているだけに、ヒートショックには注意が必要です。特に冬の室内の温度について、WHO(世界保健機関)は最低でも18度以上にすることを勧めています。室内を暖め、健康状態を知るバロメーターにもなる血圧を日頃からチェックしておきたいものですね。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)

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