エサ場に現れた黒猫から異臭 20針縫う大けがも愛情浴びて回復 無邪気で甘えん坊のしぐさが飼い主さんの心を射抜いた
2021年のある日、関西のとある民家付近の猫が集まるエサ場に、首輪が首から脇にかけてたすきがけになった状態のメスの黒猫がいました。その様子に最初は「かわいい猫さんだな」と思った餌やりさんでしたが、黒猫からはなんだか異臭がします。よく見てみると、脇の部分が擦れており、痛ましいけがをしていました。餌やりさんはこの黒猫を保護。名前を「たすきちゃん」と名付け、動物病院で治療してもらうことにしました。
■餌やりさんの温かいお世話を受け第二の猫生を目指す
20針ほども縫う大けがだったのですが、この餌やりさん、獣医師の思いを受けたかのようにたすきちゃんはすっかり回復しました。
首輪をしていたことから「飼い主さんがいるのだろう」「心配しているだろう」と餌やりさんはあちこちに問い合わせましたが、飼い主さんが現れることはありません。ひとまずこの餌やりさんの家で世話を続けることにしました。後にたすきちゃんに避妊手術も実施。ゆくゆくは第二の猫生を歩んでもらうため、里親さんに繋がることを目指しました。
たすきちゃんは人間大好きな甘えん坊で、遊ぶことも大好きです。馴れない環境に置かれると萎縮してしまう性格で、何度か譲渡会への参加もありましたが、なかなか良縁につながりませんでした。そこで里親募集については、関西エリアで野良猫・地域猫のあらゆるサポート活動を行う会社「ねこから目線。」の力を借りることにしました。
■画面に映る猫に「遊ぼうよ」と誘うオチャメぶりを発揮
「ねこから目線。」の情報を見た優しそうな里親希望者さんが名乗りをあげてくれました。
さっそくのこの方の家にまずは2週間のトライアル期間を設け、たすきちゃんを預けることにしました。
馴れない環境ということで、たすきちゃんは箱の中でひたすら固まっていたそうです。しかし、里親希望者さんは慌てず、たすきちゃんのペースを最優先に温かく見守ることにしました。すると、そんな思いがたすきちゃんに通じて安心したのか、数日後には「ここは意地悪される場所じゃないのね」とばかりに部屋の中をお散歩。テレビ画面にたまたま映った猫に「一緒に遊ぼうよ」と手をかけたり、鏡に映る自分の姿を見て動きが止まってしまうなどオチャメなそぶりを見せてくれ、里親希望者さんの心をおおいに癒してくれました。
果たして、2週間のトライアルはあっという間に終わり、たすきちゃんは正式譲渡となりました。保護主さんは「これまで思いっきり構ってあげることができなくて辛かったけど、これからは里親さんの元で目一杯甘えさせてもらってね」と巣立ちを祝いました。
かつては首輪をたすきがけにし、傷だらけだったたすきちゃんは、現在も幸せいっぱいで暮らしているそうです。そのマッチングのお手伝いができたことを、「ねこから目線。」のスタッフもおおいに喜びました。
ねこから目線。
https://nekokaramesen.com
(まいどなニュース特約・松田 義人)