商業施設の駐車場から逃げ出した愛猫 有力な手がかりがなく10日経過 疲れ切った飼い主と道端で奇跡の再会
2023年11月、沖縄エリアのとある商業施設の駐車場から、車の中に乗っていた猫が脱走し行方不明となりました。名前はてぃちゃん。当時1歳2カ月ほどの月齢で鼻筋がベージュで尻尾の先が縞模様メス猫です。
驚いた飼い主は、すぐに猫のあらゆるサポートをする会社「ねこから目線。沖縄」に連絡。てぃちゃんの捜索・保護を依頼しました。
■脱走したエリアは、捜索が難しく危険も伴う場所
脱走後間もないことは良いですが、「商業施設の駐車場からの脱走」というのが気になります。6車線の国道がすぐそばにあり、交通事故に遭う危険性も考えられます。そのため、すぐに現場に向かった「ねこから目線。」スタッフでしたが、近隣を見て回ると、さらに厄介なことを気づきました。
商業施設周辺には雑木林、住宅街、マンションと猫が隠れやすい場所がかなり多く、想像していたよりも捜索が難航しそうだったからです。
ひとまずトレイルカメラを設置し、飼い主の承諾の上で、捜索チラシ制作とポスティング手配の段取りを組みました。
■目撃情報は6車線の国道を超えたエリア
どうかてぃちゃんが無事でいてほしい、一刻も早く見つかってほしい……そんな思いが届いたのか、チラシポスティングの翌日には早くも目撃情報がもたらされました。
その場所は6車線の国道を越えたところ。しかも2回もてぃちゃんらしき猫を見た、という情報でした。
ともあれ、このエリアにいる可能性が高いことを受け、スタッフは近隣にトレイルカメラを設置。てぃちゃんがカメラに映り込んでくれれば、その足取りや隠れ場所の目算ができます。しかし、てぃちゃんが目撃されたエリアでのトレイルカメラには、てぃちゃんらしき猫が全く映り込みませんでした。
■ついにてぃちゃんの姿をスタッフがとらえた
気づけば、捜索を開始して10日が経過していました。
追加で寄せられたてぃちゃんの目撃情報は、前述のエリアからそう遠くない場所。その情報を寄せてくれた方は、数日前から自宅の敷地内でてぃちゃんらしき猫を見かけるようになったとのことで、その自宅敷地内にカメラ、捕獲器、フードを設置させてもらうことにしました。こういった場面で、情報を寄せてくれただけなく、快く協力してくれたこの方に飼い主、スタッフは深く感謝しました。
カメラ、捕獲器、フードを設置し、しばらくの間、周辺で待機していると、スタッフの視界に大きな白いバンのエンジン下に潜り込もうとするサビ猫の小さな足が入りました。「てぃちゃん?」と声をかけました。しかし、てぃちゃんにとってのスタッフは「知らない人」。怪訝な顔で草陰の中へと隠れてしまいました。
なんとか刺激しないようにそっと写真を撮り、すぐに飼い主に確認してもらいました。すると飼い主さんが号泣。「これはてぃちゃんです」と言います。ここに至るまで、てぃちゃんの情報を耳にするだけで、実際の姿を「絵」として見ることができなかった不安が、ここで安堵の気持ちに変化し、感極まってしまったのでしょう。
てぃちゃんを思う飼い主の思いを受け取ったスタッフは、ここからが正念場として、てぃちゃんの本格的な保護へ挑みました。
■張り詰める空気の中で、てぃちゃんを無事保護!
その日は捕獲器などを設置した民家の敷地にてぃちゃんが現れることはありませんでした。
スタッフはここでいったん撤収。てぃちゃんが自然に捕獲器に入ってくれること、それがなくともカメラに映り込んでくれることを期待して一晩待つことにしました。
翌朝、スタッフ、飼い主はあらためて現場へ向いました。スタッフの到着に先立ち、飼い主さんが先に現地に着きましたが、ここで意外な展開が起きます。なんと、幸運なことに道端でてぃちゃんとばったり遭遇したというのです。
しかし、ここでは保護に至らず、少々の時差を置いて到着したスタッフと一緒にてぃちゃんと対峙することになりました。
てぃちゃんを前にした飼い主。その背後に網とキャリーを持ったスタッフがそっと近づき、隙を見て保護しようと試みましたが、てぃちゃんは異変に気づいて逃げようとします。
張り詰める空気の中、ふいをついてスタッフが素早くてぃちゃんに網をかけることに成功。なんとかてぃちゃんを無事に保護することができました。
なかなか難易度の高い保護劇でしたが、無事に帰ることができたてぃちゃんはメチャクチャ甘えん坊になっているそうです。もしかしたらてぃちゃんも逃げ出したは良いものの、飼い主のことを思い出して不安でいっぱいだったのかもしれません。
猫は思いもよらない、ふとした拍子に脱走してしまう生き物です。仮に脱走した場合は起きたことを悔やむのは後回しにし、まずは今すべきことを優先させること。逃げていった猫の捜索・保護の実現の可能性が高めるためには、こういった対処が大切なことを、今回の捜索劇であらためて実感した「ねこから目線。」スタッフでした。
(まいどなニュース特約・松田 義人)