タヌキ顔でしっぽはキツネ 左目を失った元野犬 ハンデ負けずに第二の犬生を目指しています
保護犬には大きく分けて「元野犬」「元飼い犬」がいます。このうち元野犬で行き場を失ったワンコを数多く保護し、幸せな第二の犬生へと導き続ける団体がピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)です。人間に不馴れな元野犬であっても、適切な医療ケアと合わせて人馴れトレーニングなどを実施し新しい里親に譲渡することで「殺処分ゼロ」の実現を目指しています。
2023年、ピースワンコに引き出されることになった「かかし」という推定6歳のワンコも元野犬でした。
ピンと立った耳と顔の中心部のみに黒色の毛が混じり、たぬきのようなチャーミングなルックス。尻尾はフサフサとしておりキツネのようにも。正面はタヌキで後ろ姿はキツネという、その特徴的な見た目がとてもかわいいワンコです。
しかし、かかしには重篤なハンデもありました。
■保護当初から左眼が潰れていた
保護当初からかかしは左眼がつぶれていました。他のワンコとの喧嘩で失ったのか、生まれつきなのか。ハンデをもろともせず、元気にピースワンコで生活をしています。
タヌキ&キツネのルックスに加え、姿勢正しく凛々しい骨格です。ややコワモテにも映りますが、性格は良好。人間と一緒に散歩も上手に行うことができ、抱っこもさせてくれ、初対面の人の手からでもおやつをバクバク食べることもできます。シャンプーが少し苦手ですが、噛みついたり暴れることはなく、我慢強さも持ち合わせています。
気になる左眼についても日常生活では支障がなく、点滴なども必要ないとのことです。
■「食べ物の守り」は強いが、それ以外はいたって良好
飼いやすいかわいいワンコのようですが、ただし問題が一つだけあります。
それは食べ物に対する執着です。自分のエサを奪われまいと食事中は神経を張り詰めています。いわゆる「食べ物の守り」というワンコ特有の行動で、もしかしたら元いた環境で、他のワンコたちと食べ物を奪い合うような生活だったのかもしれません。
かかしのようにハンデのあるワンコは里親とのご縁がつながりにくいのが現実です。保護されたすべてのワンコは悲しく辛い過去を乗り越え、第二の犬生を掴むためにトレーニングをがんばってきた子たちばかりです。健康な子だけでなく、どのようなワンコであっても、みんなが平等に幸せを掴んでほしいものです。
ひとりでも多くの人が保護犬に興味を持ち、かかしのような命を幸せへと導いてくれることを願うばかりです。
ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp/
(まいどなニュース特約・松田 義人)