【ブギウギ】代表曲「買い物ブギ」はどう生まれた? 「買い物カゴ」姿のスズ子がヒントに…史実と異なるエピソードになった理由とは
笠置シヅ子さんの代表曲のひとつ「買物ブギ」の締めのフレーズ「あ~しんど♪」が週タイトルにつけられた今週の『ブギウギ』(NHK総合)。放送中の第22週では、買い物カゴを手に提げて羽鳥家を訪れたスズ子(趣里)の姿を見て、羽鳥(草彅剛)が新曲「買物ブギ」をひらめく様子が描かれている。
ちなみに史実では、羽鳥のモデルである服部良一さんが上方落語の「無い物買い」から着想を得て「買物ブギ」を作詞作曲している。しかし『ブギウギ』では、帰りに夕飯の買い出しに行くというスズ子が、「おネギと人参と牛蒡とじゃがいもとお砂糖……」と、「買い物リスト」を復唱する姿を見た瞬間「歌が聴こえてきたんだよ」と羽鳥が言う。このエピソードができた理由を、制作統括の福岡利武さんに聞いた。
■「買物ブギ」がスズ子の日常とリンクするように
「『買物ブギ』は大阪弁でどんどんまくし立てていく楽しい歌。歌詞には『魚屋さん』や『八百屋さん』で買い物をする様子が綴られていて、とても生活感があり、戦争で物が買えない時代から買える時代になった喜びも表現されています。スズ子の『日常』から羽鳥がひらめくという筋立てが、この作品らしくて面白いのではないかと思いました。『わてほんまによう言わんわ』など、飾らずに親しみやすいフレーズが、スズ子の日常とリンクするように聴こえたらいいな、という狙いもありました」
■『ブギウギ』の「買物ブギ」は、もともと大野さんが発端
また、元をたどればスズ子に買い物を頼んだのが家政婦の大野(木野花)であるところも面白い。大野は本作のオリジナル・キャラクターであり、終盤エピソードのキーパーソンとなっていきそうな人物だ。102話では、大野をスズ子に紹介したりつ子(菊地凛子)の口から、大野の来し方が語られた。戦争で家族を亡くした大野が、スズ子や愛子(小野美音)と新たに“家族”になっていく様子が、これから描かれていくのだという。そんな大野が、知らず知らずのうちにスズ子の歌にも影響を与えていくという展開も『ブギウギ』らしい。福岡さんはこう続ける。
「『ブギウギ』はステージシーンと同じぐらいに、生活感の部分も大事にしているドラマなので、スズ子の『生活』や『日常』と密接な存在である大野をからめたほうが面白いのではないかと考えました。今週の脚本を担当していただいた櫻井剛さんがうまく自然に台本に落とし込んでくださいました」
スズ子が生きること、生活すること、人と出会い別れること、人を励まし人に励まされ、互いに影響しあうこと。そのすべてがスズ子の歌を形作る。ますます“熟成”されていくスズ子の歌に、耳を傾けていきたい。
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『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00~11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽NHK BS・NHK BSプレミアム4K
毎週月曜~金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25~10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)
(まいどなニュース特約・佐野 華英)