手のひらにちょこん!羊毛フェルトで作る話題の「てのり猫」 作家が本を出版 作り方の基礎を学び、あなたも「世界に一つの宝物」を
手のひらにちょこんとのるミニサイズの羊毛フェルト猫(てのり猫)で有名な羊毛フェルト作家・MEBARUさんが2月14日、自身初となる著書「羊毛フェルトで作る てのり猫」(日本ヴォーグ社)を出版した。精巧で愛らしい羊毛フェルト猫の作り方をあますところなく公開。初心者から経験者まで楽しめる内容になっている。
MEBARUさんが羊毛フェルトを始めたのは2017年初めころから。22年間ともに過ごした愛猫「めばる」(オス)が年老いて衰弱していく姿を見て、「この世からいなくなる前に形に残しておきたい」と思ったのがきっかけだ。
当時、羊毛フェルト猫といえば体長30センチほどの大きなサイズのものが主流だったという。MEBARUさんは元々、ミニチュアの作品に憧れがあった。そこで、手のひらにちょこんとのるサイズの猫を作ることにした。小さくなればそれだけ難しくなるが、試行錯誤の末、うまく作る方法を独学で築き上げていった。
当時、そんな小さな羊毛フェルト猫を作っている人はほとんどいなかったこともあり、SNS(インスタグラム)で発表すると少しずつファンが増えた。現在、インスタグラムのフォローワー数は10万人。作品は欲しくても抽選に当たらなければ買えない人気ぶりだ。
出版された著書では、体型、柄や色、しぐさの違う12匹の猫の作り方をオールカラー、実物大写真付きで紹介。リアルなてのり猫を作るために必要な材料や道具の紹介をはじめ、胴体の土台、胴体への植毛、細かいパーツ、仕上げ方など、作り方の基本が丁寧に説明してある。
「まずは本を手にとっていただいて、ワクワクした楽しい気持ちになってもらえたら。これから羊毛フェルトで何か作ってみたいと思っている初心者の方にはとてもわかりやすい内容になっていると思います。また、やってみたけれど続かなかったという方も少なくないのですが、上手に仕上げるコツなども盛り込んでいるので、再挑戦のきっかけになれたら嬉しいです」(MEBARU さん)
本に紹介されているようなてのり猫を作るには、1体につき40~50時間ほどかかるそうで、根気のいる作業にはなるが、「自分の飼っている(あるいは、飼っていた)愛猫をモデルに作ってみたいという人は多い」とMEBARUさんはいう。
「作ってみた結果、たとえ形が不恰好になり、思い通りにできなかったとしても、自分にとって大切な猫のことを思い浮かべながら作る過程はかけがえのない時間だと思うんです。そうやって苦労してできた作品は、きっと世界で一つしかない宝物になるはずです」
自宅では、5年前に職場の知人から譲り受けたという「ピノ」(オス、5歳)と暮らすMEBARUさん。「ピノのしぐさをよく観察して、ああ、これは可愛いなとかヒントを得て、猫好きの方が萌えるポーズを作品にすることが多いですね。ピノは私の創作にとって欠かすことのできない存在です」
現在は不定期ながらワークショップを開催したり、時間があるときはオーダー猫の注文を受けたりもしているMEBARUさん。今後は「たとえばですが、実物の猫と、その猫をモデルに作った私のてのり猫の写真を並べて紹介するといったことができたら面白そう。いまのサイズよりもっと小さなてのり猫を作るなど新たなチャレンジを続け、続編の出版や個展開催などに繋げていきたいです」と意気込みを語った。
MEBARUさんのインスタグラムは@mebaru_felt_cat
(まいどなニュース特約・西松 宏)